IF THESE TREES COULD TALK/S.T

★★★★

そのまんま読むと「メルヘン?」ってなバンド名のこちら、USオハイオ州のインストゥルメンタル・ポストロックバンドによる、06年発/6トラック収録のデビュー盤。いわば「EITS以降」をド直に体現する楽曲ながら、この音像/展開がもんのすごくイイの。ツインギター+量感あふれる稜線を描くリズム隊という構成で、最近だとTHIS WILL DESTROY YOUあたりに近しい実直なサウンドで魅せてくる。最近とみに思うのは、この手のジャンルって「展開」うんぬん以前に、音の「鳴り」を決定するMIXINGの部分で好き嫌いが大きく左右されるなーということで、例えばTHIS IS A PROCESS OF A STILL LIFELIGHTS OUT ASIA、あるいはEXXASENSみたく、触れた瞬間にアァ・・・となるモノを感じる音像に、個人的には興奮要素の大部分が拠っている気がする。

このバンドも、その意味で個人的なツボど真ん中を射抜く「鳴り」っぷりで展開し、穏やかな凪の昂揚から、烈しくバーストする轟音の嵐の間を滑らかに往き来する。轟音パートの多くの部分で咽び泣くように鳴り続けるギターの片割れが印象的で、「静動」というよりは「起伏」と形容したくなる滑らかなUP&DOWNを繰り返す音響の中で、めちゃんこ刺激的な一線を加え続けている。ってなわけで、サワリほど聴いてアァ…となった人は間違いなく全編気に入ると思うので試聴してみてね。

Above The Earth, Below The Sky

★★★★

先にデビューE.Pを紹介した、USオハイオ州のポストロックバンドによる09年発1stフル。自然にうつろう景色や心象をそのまま音に表したような、美しい情感溢れるストレートなサウンド。言葉で記すのがとても難しいのだが、繰り返しの起伏を成す音像は、背後に作為的なモノを全く感じさせない。全てが自然に発生し、展開していく、というか。そしてこのナチュラルな展開こそが、表わしがたい昂揚を産んでいる。

過剰に迸るエモーションや、格別ドラスティックなパートがあるわけではない。が、日常に息づく大気の鳴動や、悠然と広がる景色を偽りなく切り取って見せるようなサウンドスケープは、それだけで確実に普段死んでいる「何か」眩しい感覚を触発する。スペーシィなループを描くフレーズを、津波のような轟音ギターが一蹴する"What's In The Ground Belongs To You"が個人的なベストトラック。透明な闇に明滅する音の光が素晴らしい昂揚感を投げ掛けてくる。以上が能書き。好きか嫌いかは、↓で一曲聴けばスグ判る。

http://www.myspace.com/ifthesetreescouldtalk