KINETIC/Sun & Glacier

★★★☆

NYCの3ピースによるデビュー・フルアルバム。
陽だまりの温もりを持ったエモーショナルなメロディと、時折シューゲイズ畑へ踏み込みかき鳴らされるFuzzyなギターの濁流が絡み合う、良質なインディーギターロック。

煌めくギターと躍動するリズム隊。純朴なメロディの一鳴にてリスナーを鷲掴み、競り上がり旋回するアンサンブルにより深奥の昂揚を焦がしていくそのサウンドは、普遍的ながらもかなり高いクオリティを持っている。

ベストトラックはTr.5"electrocute"
小範囲にてリフレインするベースラインとドラムの拍動、同じく反復し降り注ぐマイナーコードのギターリフが、背後に影を孕んだ昂揚をジワリ醸成させていく。無数の旋回から生まれた音の上昇気流。ディレイ/ファズ/トレモロ/ディストーションといったエフェクトペダルを踏み分けながら、ゲイザーにはタマランギターの渦を巻き起こす終局は、なんとも刺激的。

自身のサウンドを"Psychedelic Nirvana"と評する彼らだが、衝動や破壊といった形容からは良い意味で遠く、人肌のエモーションを等身大の音の奔流に乗せかき鳴らすその様は、Ides Of SpaceBuilt To Spill辺りにも通じるインディー畑の果実の旨味を感じさせる。プロデューサーはSea RayLongwaveも手がけるPete Min。

http://myspace.com/kineticnyc