IDES OF SPACE/There Are No New Clouds

★★★★

Shoegazerという言葉を聴くと、胸が期待に膨らむのはやはり、RideやSlowdive、マイブラなどの甘美なギターノイズの洪水を期待してしまうからだろうか。今の時代Shoegazerは決してメインストリームではないし、こちらを「おっ」と思わせるようなバンドにも滅多に出くわさないが、それでもやはり上記の類のバンドを引き合いに出されているのを見ると反応してしまう自分がいる。

このバンドを知った経緯は忘れたが、たぶん上記のようなバンドを引き合いに出されているのを見たからだろう。Ides Of Spaceは意外なことにオーストラリアの5人組バンドで、このアルバムは本国でリリースされていた過去の2作品を併せた、いわば海外進出盤のようなものだそう。音のほうはというと、初期Rideが放っていた瞬く光のような煌きではなく、穏やかに波打つ水面に反射する春の日差しといった感じ(どんな感じだ!?)。疾走する曲にも、性急感ではなく、むしろゆったりとした大きな流れを感じるのはオージーの血によるものなのか。澄んだギターの音色にDeath Cab系の枯れたボーカルがのっかり、ディストーションギターが緩やかに全体を飲み込んでいくTr.1や、広大なオーストラリアの大地を連想させるような美しいメロディーとピアノストリングスが印象的なTr.3、静謐な立ち上がりから一気に加速し、中盤の印象的なセッションを挟みながらクライマックスへ向けて昇り詰めていくTr.7など、クオリティーの高い曲が詰まった秀作。お薦め。

Sleeping Fractures

★★★☆

なぜか日本先行で発売されたニューアルバム。しかも、どうも日本以外で発売されている形跡が無い・・・。バンドも現在活動しているのかどうか不明な状態で少し心配だが、とりあえずレビュー。

基本的には前作と同じ路線で、今作でも郷愁を誘うような綺麗なメロディーとギターサウンドが印象的。前作でも、一般にシューゲバンドとして紹介されるバンドとは少し毛色が違うなと思ったが、今作もそんな感じで、ギターは渦巻いてたりするものの、それがあまり前面に出てこないというか、聴いていると歌のほうに意識が向かい、どちらかというと枯れ系のバンドの雰囲気が強く漂っている。最近知ったが、death cabとは本国でのレーベルメイトだそう。というわけでその手の枯れ系バンドが好きな人にも受けが良いかもしれない。



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