AND SO I WATCH YOU FROM AFAR/S.T

★★★★

「大化け」っちゅうのはまさにコレを言うのか!と瞠目した、アイルランドはベルファストの5人組によるデビュー・フル。先行したデビューEPでは、正直「アリガチなポストロック」って以上の印象は何もなく、全くといっていいほどソソられなかった。なのになのに、このアルバムでのインパクトは一体ナニごとっ!?

MOGWAIDON CABALLEROって形容を、アタマではなくその衝撃的な音から十二分に「体感」させるオープニングから狂喜が乱舞。激しく軍靴が打ち鳴らされ、そのリズムのままに天空を巨大なリフが迸る。轟音!爆音!!大音声!!!笑っちまうぐらいにドでかいリズムに、昂揚中枢を乱打するリフが乗る。変則拍子/転調を、本能がままに叩き出すスタイルが異常にドラマティックに耳を撃つ。開幕曲"Set Guitars To Kill"の劇的な興奮のまま、続くTr.2でも「マス」なフレーズをプリミティヴな爆音が蹴散らし飛ばす。昂揚感を直撃する高域のギター・フレーズで引っ掴み、津波のような爆音でもろとも吹き飛ばす"Clench Fists, Grit Teeth... GO!"にかけてのアタマ3曲には、なにかこれまでに無い新しい音の魅力・威力をヒシヒシと感じマス。

そんな出鼻の衝撃と比べると、アルバム中盤ではややそれが薄まって響くのは、ある程度仕方がないのかも。それにしたって既存のポストロック(括弧書きではないよ)の領域で見れば、十分魅力的なスケール/サウンドだと言えましょう。EITS以降というよりも、CASPIANの系譜に連なる〜と言いたくなるような、マッシヴに渦巻く情感の暴流。感傷的な螺旋図から、フイに引き攣れたように狂い出す炸裂ギターがステキなTr.8、再びノスタルジーの澱みに沈むサウンドが、やがて弾けるパーカッション/不器用だが熱いコーラスのウネリに乗って昇華するTr.9、叙情系轟音ドラマティックで存分に煽り立てながら、焦らしに焦らすようにラスト"Eat The City, Eat It Whole"にて凄まじい爆音を炸裂させて散る。とりわけラスト30秒のカッコ良さは反則ですな。これは是非ともライブが観てみたい!

The Letters EP

★★★★

アイルランドはベルファスト発の大器/ASIWYFAの2010年新作EP!

「ドンキャバ+モグワイ」な路線を突き進むそのサウンドはココでも不変!高域を跳ぶ変則リフ、転回する変拍子、そして競り上がり炸裂する津波のような轟音と、この3者が「アッ」という間に目まぐるしく入れ替わり、切り拓いてみせる新感覚の音の像。各トラックに付された意味ありげなタイトルの意味がワカラない自分のアタマが悲しいが、対する音は実にダイレクト。野太くウネるベースラインに弾け飛ぶリズムの快、んでもって始終に渡って爆裂炸裂破裂してみせる轟音ギターの、時にフライング気味ですらあるその噴出っぷりに否が応にも気分がアガります。緻密ながらも血気盛んにブッツかり合う音の触発具合や、歪みに歪んだ太っとい音の鳴りっぷりの両面で、格段にライブ感が増して感じられるナイスな一品。せせこましさ、まるっきりゼロでありますワ。

Gangs

★★★★

アイルランド発・21世紀の核弾頭
ちょうど2年のスパンでリリースされたこの2ndは、待ってたおいらの期待を裏切らない痛快作。マス・ロック的明滅する快のパルス、空中爆発するポストロックの炸裂快、空間を豪快に両断するHR/HM的タテの衝動などなどが、「アプローチ」ちゅうコトバを浮かべる暇なし!のグルーヴと化し襲来する「嵐のような」ミュージック。

アルバムという轟音の要塞に、まるで礎石のように打ち置かれたパーカッシヴなリズム群。こいつがポチっと点した昂揚は、たちまち高速旋回する音のパルスに引きずり込まれて燃え上がり、人力の掛け声やなんやをスイッチに大爆発するのです。それはもう「あっ」という間の天変地異なる音体験。目まぐるしく乱舞する光を追ううちに、気づけば宇宙空間へ吹っ飛んでおったかのような音体験。これが楽しくないわけはない。既存のジャンルをぶち抜くインパクトで登場したバンドは、本作でもその「楽」の部分を猛然と焚きつけるミュージックを素晴らしい勢いでかき鳴らしております。

Myspace
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