SPIRITUALIZED@梅田CLUB QUATTRO

あれから4年も経ったんや、、、とあらためて振り返るとトキが流れる速さに愕然としちゃうね。この感じやとボクもすぐにお爺ちゃんだ!、、、そんな4年の歳月を経て実現したSPIRITUALIZEDの単独来日公演に行って来た。大阪のハコは、昨年心斎橋から移転した梅田クラブクアトロ。旧くはピカデリーが入っていたビルで、駅からずっと地下を通って行けるため利便性はかなり良くなった。18時過ぎに到着し、まだ真新しい会場に入る。が、なんというか、思っていた以上に空いている。まだ80〜100人ぐらい?普通に2列目真ん中あたりまで行けた。アルコール片手に、久しぶりにあのソワソワとする開演前独特の感覚を味わいながらその時を待つ。ステージ上にスモークが吐き出され、19時10分ごろ暗転。

メンバー5人に女性コーラス2人が加わった7人がステージへ。バックに「T.V.EYE」と書かれたTシャツ(Stooges?)を着たJasonはステージ左手のイスに腰掛け、おもむろに手にしたテレキャスでリフを刻み始めた。初めて聴くナンバー。リフレインするシンプルなコードと、美しいコーラスがやがてエモーショナルな厚みを纏い、「here it comes」というフレーズと共に昇っていく。これも歳月の重みか、Jasonの声がまた、渋いのね。そのエモーショナルな暖気に温められた空間に、神様が2012年の世界に落としたもうたエレクトリックサイケデリックゴスペルガレージ"Hey Jane"が鳴り響く。さらには頭ん中を、つまりは取り巻く世界をディストーション/FUZZの雷撃が駆け巡る"Electricity"で空間がスパークした。そういえば序盤でいきなりJasonの器材がトラぶってヒヤヒヤしたが、かつてサマソニで「お前は馘首だ」とジェスチャーしていた男の面影はなく、むしろ淡々としていたのが印象的だった。アルバムでは漆黒の漣が打ち寄せるようなダークさを醸していた"Heading For The Top"はLIVEだとかなり化けていて、憑かれたようにギター・ノイズを繰り出すDoggenがヤバいぐらい格好良い。この人のプレイって何気に熱いよね。

"Freedom"、"Ladies & Gentlemen"、"So Long"といったパーソナルな感傷を揺さぶるナンバーによって柔らかな光に包まれたフロアを、しかし強烈なディストーション/リズムの拍動が覆す。これ、あとで新曲の"A Song"だと知ったんだけど、この時はどこぞのヘヴィ・ロックバンドのカバーかと思ったぐらい、フィジカルなウォール・オブ・ノイズがぶっ放されていた。さらにはこの流れでは演らんだろうなーと思っていた悶死ナンバー"Take Your Time"のイントロが来て、死んだ。白光しているのは空間か、己のスパークした精神か。臨死体験を思わせる純白の轟音と閃光は、やがて天国を思わせる赤と青の乱舞に代わり、"Electric Mainline"という三途の川へと連なっていった。本編終了。惚けたようなオーディエンスへ拍手して去っていく、空ろな表情のJasonが見えた。

10分後、男は再び帰ってきた。ブルージーな反復をもって鳴らされたのは、SPACEMEN3時代の"Come Down Easy"で、そこから再びテレキャスに持ち替えて"Walking With Jesus"へ。しかしここでちょっと信じられない光景が。なんというか、Jasonがギターストラップがネックにかかった状態で弾いているのだ。ワウが噛まされているとはいえ、音がトーンが微妙に歪んでいる。無類の完璧主義者がこの違和感に気づかないとは!?結局ワンコーラスが終わった時点で気づいたのだが、疲れてるのかな〜、、、と心配になってしまった。んなもんでこの楽曲で終わってたら相当ヘンなモヤモヤが残っちゃったと思うんだが、続いて鳴らされたのはまたしても予想外の"Smiles"。8年前の臨死体験を軽く反芻させるノイズの洗礼とストロボフラッシュ。音が、光が頭ん中を駆け巡り意識が溶解するような瞬間をもって、ライブは終わった。

=Setlist=
1.Here It Comes
2.Hey Jane
3.Electricity
4.Headin' for the Top Now
5.Freedom
6.Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space
7.So Long You Pretty Thing
8.'A' Song
9.Perfect Miracle
10.Take Your Time
11.Electric Mainline

Encore:
12.Come Down Easy
13.Walking with Jesus
14.Smiles

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