TORCHE/S.T

★★★★

USマイアミの4人組轟音ポッパーズによるデビュー盤。躊躇なく爆発し、清々しいまで豪快に弾け飛ぶ音塊が乱舞するトータル11曲31分。

空間を揺らしに揺らすヘヴィなリフが充満するオープニングから、ランブルに打ち放たれるリズムが猛然と転回する高速ナンバー"Safe"へ突入。雑木を薙ぎ倒す重機リフが行軍するTr.3"Mentor"にて、轟音圧殺×ツキ抜けポップネスのコンビネーションに一挙炎上。

圧力ありまくりなリフ/リズムを、内々ではなくひたすら開放的にバーストさせる強靭なアンサンブル。弾け飛ぶ汗が脳裏に浮かぶような男臭いヴォーカルを絡めつつ、一切無駄なく押して圧して押し捲り突き抜けるTr.6〜Tr.8にかけての4分間なんて、アドレナリン出まくりで問答無用に気持ちイイ。Tr.9"The Last Wordでて唯一アンビエントな爆音に揺れる以外は、ほんっとに余剰が無い。総身を滅するアッーーー!な爆音が踊り狂うTr.5"Fuck Addict"がベストトラック。メロのエモさ/パーツの組み合わせ/展開転回の潔さ、そのどれか一つでもバランスが狂えば成り立たんだろう、絶妙なる轟音ポップネスがひたすらに快快快な好アルバム。

Meanderthal

★★★★

2ndアルバム。リリース元はHydra Headなんだが、かなーり浮いてる奇天烈サウンドは意表を突いて頭にズガン!と飛び込んでくる。

初っ端の高速インスト・チューンなぞ「アラ、どちらのFall Of Troyさんですか?」といった滅殺具合で攻めてくるが、一転続く"Grenades"で弾ける♪♪♪なメロディー・ラインに撃沈。なんちゅう楽しげなフレーズをこげな剛力アンサンブルに被せるのか!そのサマは正しく"剛力ストーナー・パワーポップ"。ごっつい塊をそのままぶっつけてくる重機的アンサンブルと、SNUGばりに弾ける青臭いメロが何の違和無く同居してる。量感・ヌケともにめちゃくちゃイイ!

サバスっぽいTr.4"Sandstorm"で暴れるギター・リフ、メタリカ然として行軍する高速裁断アンサンブルに燃えるTr.5"Speed Of The Nail"みたいな楽曲がある一方で、コブシ突き上げモッシュ・ピットに突っ込みたくなるTr.7"Across The Sheilds"みたいな陽性パワーポップチューンがバンバン顔を覗かせる。加えて合間合間に挟まれる高速回転インストナンバーが最上のツマミとして機能。全13曲36分が一瞬のうちにぶっ飛んでく。

最後なんてそれこそドゥーンドゥーンっと灰色のドゥームサウンドで〆ちゃってるし、楽曲ごとの彩色はよう考えるとかなりオカシナことをしてるはずなのに、それが全っ然意識に上らずノンストップで駆け抜けてしまえる事の不思議。色々を混ぜこぜた超天然の直球は、昨年のYou Slut!と並ぶ好インパクト。これはかなりスキだ。

In Return

★★★★☆

1stと2ndの合間にリリースされた全7曲/20分超のEP。爆音ストーナー・ポッパーとして、その認知度がグングンと上昇しているトーチだが、個人的に今作はそんなバンドの魅力を最もダイレクトに感じうる最強の1枚だと思う。先の来日公演で、およそアルバムの比ではないDOOM/STONER気質なマジもんの爆音におったまげた人間も多かろうが、このEPではそんな彼らのライブを再現するような凄まじき爆音の饗宴が聴ける。聴こえる。ぶっ飛ばされる。

邪気溢れる轟音リフ/リズムの転回にアァーアァー言ってるコーラスが被さる"Warship"から、ブースター全快の爆音にメロメロな歌が乗る"In Return"へ、続いて陽性のダイナミズム満載の爆裂アンサンブルを上程する"Bring Me Home"、再び邪悪な攻撃性を発露させる"Rule the Beast"にてデビルの哄笑が全体を加速させ、空間を自在に捻じ曲げるドゥーム!ドゥーム!な"Olympus Mons"の流れのままにザッ!ザッ!ザッ!ザッ!と大部隊の軍靴が通り抜けるよな裁断アンサンブルで刻む"Tarpit Carnivore"、内臓を蹴破るバスドラ/砕け散るハイハットの響きがカッコ良すぎる" Hellion"で、天国なのか煉獄なのか不明な境地へと誘い込んでオワル。トーチを初めて聴くなら絶対に今作がオススメ!アルバム持ってるけどコレ持ってないって人も是非聴いてみましょうね!

Songs For Singles

★★★☆

マイアミの爆裂STONER/POP野郎、トーチの最新作。全8曲/21分、ってのはEPの扱いでいいのかしらん。08年のジャパンツアーでの衝撃は今もって鮮烈なわけだが、今作はそのツアー直後のギタリスト脱退以降、トリオ編成になって初めての作品となる。

編成が変わったとはいえ、ハナっから躍り出るのはもう、一発でそれだと判るTorche節。だが、全面に渡ってポップな層が浮かび上がった一方で、背後を占める音圧の平面的な感触が少々気になる。単にギターが抜けたから、ってわけでもなかろうが、とりわけ尺が延びた楽曲において、以前のようなねじ伏せるが如き躍動感やパワフルなリズムのうねりが薄まってしまったようにも感じるのだが。シューゲイザー的な爆音を繰り広げるTr.7"Face The Wall"、続けてやたらに蒼いフレーズを反復旋回させるTr.8"Out Again"とか、曲自体は嫌いじゃないんだが、このバンドに求めるものとはちょっと違うんだなー。タイトルとは裏腹に、このバンドにしては「ちょっと大人しすぎるんちゃう!?」という気がせんでもない。

Harmonicraft

★★★★

豪腕再興

実は直近作"Songs For Singles"はちょいと不完全燃焼気味でした、というTORCHEファンが結構おるのでは?と勝手に推測してるんだが、そんな声を霧散させる勢いにてリリースされた新作アルバム。

これぞTORCHE!!!
と快哉を叫びたくなる肉厚POPな豪腕サウンド。のっけから縦横無尽にブチ当たる爆音と、まさしく「鳴り響く」といった感じで歌われるgoodメロディの陽性がバンバンと転回してめくるめく。やっぱTORCHEはこうでなくっちゃね。とりわけ本作では豪快な音の瞬発力がこれまでになくイカしてて、矢継ぎ早に繰り出されへヴィにロールするリフ/リズムのグルーヴ感が常になく、強い。ほとんど「息つく間なし!」のアッパーさが豪快、痛快。彼らの代名詞でもある「轟音+POP」なチューンは勿論のこと、LIVEではモッシュを誘発しそうなエッジの効いたインストゥルメンタルがロールする"Sky Trials"、あるいはTORCHE流DOOMサウンドがずんずん打ち鳴らされるラスト"Looking On"なんてのもあり、色んな見せ場がてんこ盛り。このテンションはたまらんね。オススメです。

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