TORCHE/COLISEUM@十三Fandango

めっちゃくちゃ楽しみしていたTorche/Coliseumのジャパン・ツアー。一方でドゥーム/ハードコア/グラインドコアな面子のカップリングに、果たして如何ほどの阿鼻叫喚絵巻が繰り広げられるのか!?と凄惨苛烈なアンナ事態やコンナ情景を想定しつつ、果たして体力的に乗り切れるのだろうかと少々ビビりながら行ったのだがなんのことはない、会場に精悍なるハードコア野郎の姿はほとんど見られず、サークルモッシュや殴り合いなんかとは無縁だと思われる、メタル好きなオタクっぽい人間が大多数。付け加えると客入り自体もやや寂しく、よく言って50人ぐらい。うち外国人が7,8人。

頭のバンドには間に合わず、19時過ぎのCOLISEUMより参戦。ケンタッキー州ルイヴィルより馳せ参じた苛烈なトリオ。突進型のハードコア/パンクを基本に、Relapseらしい獰猛性や直情的なアオリを端々でぶっ放す。新譜の"No Salvation"はかなり聴きこんで行ったのだが、アルバムで感じたキメのフックにやや欠ける感はライブでも覆らず、カッコイイんだが突き抜け切れない。いやむしろ、殺傷的な速度を増強したライブでの演奏は(良くも悪くも)灰色の鋼鉄性を一層強めており、ほとんど何の曲を演ってるのか判別が困難なほど。出だしでワッと盛り上がりながら、その後の荒涼たる直線的な展開でその昂揚が萎んでしまう感覚が何度かあった。そうは言いつつ、ブルみたく突進/後退を繰り返すギタリストの巨体や、スティックをブン回すように叩きまくってたドラム(巧すぎ)にしっかり当てられ煽られウォオと興奮したがな。

しかし本日の主役はやっぱりTORCHE!完璧なる爆音エンタでありました。やたらとスマイリー、なのに(悲しいことに)笑うと凶悪犯ばりに凄みが増すヴォーカル(子どもが見たらたぶん泣く。でもたぶん良い人)を筆頭に、マイアミから4人のステージ猛者が大阪の地に揃い立つ。直前でトイレへ駆け込んだドラムが戻るを待ち、ぶっ放された"In Return"により開幕。これって洒落・・・か?しかししかしスゲーぞこの音は。年間ライブ数250本ってのはダテでなく、表現される音の迫力が桁違い。音源ではもっぱらその剛力に重ねられるメロの異常なポップネスに耳がイッていたわけだが、なんというか、そういう表層レベル云々でない爆音表現がのっけからズドビシッ!と快楽中枢に飛び込んでくる。アタマが興奮で軽くトンだため何を演ったか正確に覚えてないのだが、途中"Mentor"や"Rockit"で首がモゲそうなほどヘドバンしたのは覚えてる。ついでに"Fat Waves"でフロアを埋め尽くした凄まじい轟音瀑布に、背筋をゾクゾクする高揚感が駆け巡ったことも覚えてる。それら一撃必殺の突き抜けメロ(ほとんどパワー・ポップだ)をもったチューンを餌にコチラをバンバン釣り上げながら、しかし今日の主役だったのは想像を遥かに超えて「ドゥーム」なナンバーの数々。アルバムでは冒頭やラストに多く収められている、深く深く這いずり回りトグロを巻くクログロとして獰猛なサウンド群が、とにかくアルバムの比でない迫力/猛烈な音の律動でフロアを呑み込んでおったのじゃ。鉄壁のアンサンブルが繰り出す絞め殺しハメ殺しヘヴンな爆音裁断に、フロアはもれなくヘドバン大会。殺戮部隊の行軍めいた"Meanderthal"〜"Tarpit Carnivore"あたり、ちょっと異常なまでの極楽にハメられた。音にもパフォーマンスにも終始ブッ飛ばされブンブンに振り回され続けて60分強。アンコールにもバッチリ応えてくれ、極上のステージが終了。赤パン一枚で叩いてたドラム、首が落っこちそうなぐらいヘドバンしてたベース、最高のパフォーマンスで魅せまくってたギターと全てが絶品でありました。店出てからも昂ぶりで半ばフラフラしながら帰ったのだが、この時点で、既に首が痛かった。

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