YOU SLUT!/Critical Meat

★★★★☆

マイケル・フィーリックによる完全なワン・マン・バンドと思われていたAmusument Parks On Fireには、実はこんな変な奴がいた。ベーシスト/ガヴィン・プール。彼が母体となり当初はお遊びで始められた4人組バンド/You Slut!は、腑抜けたジャケ写からは想像も付かぬエキサイティングな音を叩きつける。

その形容にHellaの名前が挙がっていたのにも思わず納得な、テクニカルにしてド変則/変態的なそのサウンドは、かなり多岐のジャンルを飲み込み暴れる悶絶雑食マスロック。転調・変速・変拍子アタリマエ、プログレメタルからハードコア、ハードロックあたりまでを余裕で飲み込み咀嚼し吐き出されるスリリングなリフの応酬がホントに本当に素晴らしい!

3分前後の楽曲中に、これでもか!とばかりに詰め込まれ、高速で現出しては弾け飛ぶ音塊は、異様にスリリング。カッコイイ。とにかくとんでもなく巧みなその展開。爆裂し溜め込まれ再度弾け飛ぶ、まさに息つく間もなき超絶音劇場は、どれも天才的なスムーズさでもって進行し、なおかつそのテクニック云々よりもまずもって最初に印象づけられるのは、叩きつけられる音自体の昂揚という、この手のジャンルの他バンドには絶対にあり得ないモノがYou Slut!最大の魅力。

弛緩の瞬間は一切無し。
"Mybloodyjesusexploreronfire"なんていうメチャクチャなタイトルを付与されて、APOFばりのフィードバックノイズが吹き荒れるTr.8を見聴きすれば、一発でこのバンドの破天荒さが分かるだろう(笑)。この曲なんて、まるでパワーポップバンドがシューゲイズを演ってしまったような、お口アングリな展開とヨダレ垂れまくりの昂揚が炸裂する素晴らしいナンバーだ。いやー凄い。めちゃくちゃオススメです。

Medium Bastard

★★★★

ごった煮は勢いテンションがあるほうがウマい

ご存知APOFのベーシスト/Gavin Poole率いるバンドの、実に6年ぶりとなる2ndアルバム。元は友人のパーティーでの余興モノとして始まったユニットが好評を博し、あれよあれよという間にアルバムをリリースしちゃったよ!?的なのが前作。ずばり"Mybloodyjesusexploreronfire"なんて茶目っ気たっぷりなトラックが示すように、その音楽は天才的なセンスがピュアな反射神経によって繰り出されるというミラクルに満ちていた。そうして見ると今作は、バランスというか音響的な仕上がりはカッチリしたけども、逆にこのバンドならではのナチュラルなテンション/個性みたいなところが薄まってしまったように聴こえる。つまりはその音から「ミラクル」が消えた。

ユニークな遊びゴコロは消えてないし、マスロックな体躯にメタリックなリフを打ち込みかっ飛ぶそのドライブ感には随所で「オォッ!」となるのだが、その興奮がこちらの予測値を上回る瞬間はなく。どこかしらヘンではあるのだが、上述したジャンルの壁を薙ぎ倒すほど突き抜けてはいないのだ。むー、音楽ちゅうのは奥が深いね。

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