SCRAPS OF TAPE/Read Between The Lines At All Times

★★★★

先に紹介したOnce We WereやSeptember Malevolenceと同じく、Tenderversionに所属するスウェーデン発4人組ポストロックバンド、TSOTのデビューアルバム。

ツイストしながら炸裂するディストーションギター、咆哮するブラスセクション、輪郭をぼかしたローリングドラムが激しく絡みあう。マイナーコードの音塊群が不穏な、しかして強靭な衝動を解き放ちながら大きく螺旋を描き上昇、スリリングに軋みあい、アグレッシブに弾け飛ぶ。静→轟音の方程式に依らず、随所で刺激的な音の爆風を巻き上げながら、抜群の疾走感とともに膨大な昂揚感に満ちたクライマックスを描き殴る様は、大好きなバンドDetwiijeを思わせる。

端々で挟み込まれるサンプリング・コラージュ、ギターアルペジオのメランコリー、暗い情動を湧出させるバイオリン・ストリングス、この辺りの使い方もまた素晴らしい。時として唐突に、そして次第に熱量を増して空間を席捲する轟音の旋風。かなりのセンスを感じさせる、これからが非常に楽しみなバンドです。

www.myspace.com/scrapsoftape

This Is A Copy Is This A Copy

★★★★

September Malevolence主催のレーベル/TenderVersionに所属する、スウェーデン発の4人による2nd。バンド名が示すとおり、時にメロウに場を揺らし、時に烈しく空間を震わせる数多の表情を持った音の断片が巧みな展開の上にコラージュされ、情感豊かで激しいインスト・ロックをかき鳴らしていく。

前作同様、中低域で激しく旋回しながら転回する彼らの音像は、ありがちな静→動アプローチとも、麗しく流れ去る感傷的な展開ともまた異なる表情を持っている。ミドルウェイトの音塊を叩き込むドラミング、もがきながら絡み合い、ウネりクネる2本のギターが加速度的に場を切り刻む。その一方で枯れたヴォーカル/エモーショナルなブラスセクションが織り混ぜ込まれ、スロー/ミディアム/アップの3者によるテンポが目まぐるしく邂逅しては激突し弾け飛び、息つく間もなく展開していくそのマットな質感の激す音塊は、やはり相当に刺激的でカッコイイ。一段とその歪みの度合いを増したギターの暴力が何らの前触れも無く噴出し、一瞬にして周囲を煮沸するかの如く染め上げる刹那の昂揚は、このバンドの十八番とも呼べる刺激的な一瞬だ。

その類稀な楽曲構築力には更に磨きがかかり、前作には無かったエモーショナルなヴォーカル・パートの導入を始めとし、時に相反する音を掛け合わせて展開される音の嵐は、粗く猛々しく泥臭くもストレートな激情を、終始に渡って表出させていく。

Neurot系のアーティストをも思わせるヘヴィ・メタリックなリフが沈鬱を切り裂くラストトラック、"Why Marcus Oh Why"における劇的なカタルシスにより至福の空間は幕を閉じる。トータルに渡って非常に高い昂揚と完成度を誇る素晴らしいアルバムだと思う。

Grand Letdown

★★★★

スウェーデンの4人組ポストロックバンドによる、09年発3rdアルバム。陰鬱と絶望がポッカリと口を開ける漆黒の谷底を横目に、切り立った崖の淵をフラつくような、なんとも危ないメロディが際立つオープニングトラック"Bring The Heavy"。長大な冬と重苦しい闇に閉ざされた地に生まれたバンドならでは、、、と思わず思うメランコリックなメロディ、美しいフレージング。有機的と呼ぶにはあまりにも冷たく響く、ささくれだった音の粒が次々と衝突し、軋みをあげながら変形し、やがて一つの形を成していく、、、そんな有様を見ているようなアンサンブルが、言いがたく印象的な残像を投げ掛ける。

なかなかに印象的だった前作のソレと比べても、格段に存在感を増して聴こえるエモーショナルな歌声が、その厳しく切り立ったアンサンブルに柔らかで力強い息吹を与え、キリモミ状に転回する音像の魅力を抜群に深めている。その感覚を(安直だが)そのままに表わすなら、人生の厳しさと、だからこそ見出しうる喜びとでも言うか。あー、ちょっと違う。でもなんというか、生きてく上で感じるすごく大きくて重要な情感の、かなり本質的な部分を炙り出してるよなーと、どのアルバムでも感じさせられるバンドです。流通はあまり良くないようだけども、どうにかして一度聴いてみるだけの価値はあると思います。

http://www.myspace.com/scrapsoftape