DETWIIJE/Six Is Better Than Eight

★★★★☆

 続いて紹介するのは、イギリスの5人組ポストロックバンドDetwiijeの4曲入りデビューEP。ヴァイオリンメンバーがいるバンドというのは今では珍しくないが、このヴァイオリンを含め、各楽器が絡み合いながら奏でられる叙情的、かつ劇的な音世界は他の類似バンドから頭一つも二つも抜きん出た感じ。

 このバンドの大きな特徴は、マイナーコードのリフを多用した音作りである。英国の曇り空を連想させるようなヒンヤリとした質感のディストーションギターが、その曇天を荒々しく押し分けるようにダイナミックに炸裂する。Tr.3"bee"だけを見れば、物悲しく響き渡るヴァイオリンの音色と、徐々にその姿を変えながら空間を蹂躙していくディストーションサウンドに、MogwaiやGY!BEの名を用いた比喩を行うことが可能であろう。しかしながら残る3曲、特にTr.2、"Six Is Better Than Eight"で繰り広げられる、随所で小規模な核爆発を巻き起こしながら怒涛のクライマックスへと爆心するナンバーは、今までに体験したことのないものであった。「負のダイナミズム」というフレーズが脳裏に浮かぶ彼らのサウンドはまさにオリジナル。「静⇒動」というよりは「動⇒激震」と形容できそうな、絶えまなく脈動しながら展開される楽曲の途切れることのない疾走感が素晴らしい。EITSが2ndでMogwaiとの比較をもって紹介されながら、3rdで完全に独自の世界を創りあげたように、このDetwiijeというバンドもまた、比するものが存在しないような新たな潮流を生み出す予感が大いにする。

 1stアルバム"would you rather be followed by forty ducks for the rest of your life?"は来年3月21日にリリース予定とのこと。楽しみです。
http://www.detwiije.com/

Would You Rather Be Followed By Forty Ducks For The Rest Of Your Life?

★★★★

 先のデビューEPが素晴らしかったロンドンの5人組、Detwiijeの1stフル。リリースはGizeh Recordsから。

 扇情的なヴァイオリンが舞い踊り、アタックの強いドラムスが叩き込まれる。力強いウネリを持ったディストーションギターは次第に激しながら昇り詰め、劇的な響きのハイハットが追い討ちをかけるかの如く無数に打ち鳴らされる。その高みへと至る速度・経過は巷の「ポストロックバンド」とは明らかに一線を画し、至るところで散弾をぶっ放しながら終盤の轟音の濁流へと飛び込んでいく様は圧巻。先のEPから再録ロングヴァージョンで収録されたTr.4"La Guerre Des Mondes"では、ファズギターの刺激的な音色が効果的に導入され、静と動の部分のコントラストがより鮮やかに浮かび上がっている。

 まだまだかなりのポテンシャルを秘めていそうなバンドなだけに、これからが非常に楽しみ。