BLOC PARTY@難波Hatch

今年の初ライブはBloc Party。彼らのライブを観るのは05年のサマソニ以来、単独では04年のClub Vijon以来となる。仕事を終え会場へ駆けつけると19時。前座のmonobrightというバンドによる演奏が終わり、PA卓左前方にて待つこと30分。セットチェンジを経て20時ちょうどに会場暗転。

ドラムセットが一段高い位置に据え置かれたステージへ、4人のメンバーがにこやかな笑みと共に現れる。向かって左手にギター、右手にベース、そして中央後方にドラム、前方にケリー・オケレケというオーソドックスな立ち位置を取り、そして演奏開始。

オープニングは新譜の冒頭を飾る"Song For Clay"
透徹した叙情の闇に浮かび上がるケリー・オケレケのヴォイス。そこへマット・トンが打ち鳴らすドライヴィンな拍動がズバリ切り込む。やはりこのバンドの核となるのは、(とりわけライブでは)このドラマーだ。意外とお上品な盛り上がりのフロアを横目に、続けて飛び出したのは1stより"Positive Tension"。旋回するギター、転回するドラム、性急につんのめりながら吐き出されるワーズが起こす瞬間沸騰的な昂揚はやはり素晴らしく、浴びせかけられ突き上げる音の渦中にて、踊り跳ねクネり弾ける。いやー気持ち良い!

1st/2ndからほぼイーブンの比率で構成されたセットリスト。楽曲としての密度・完成度が相当に高い新譜からの曲群は、やはりライブにおけるその再現の完全性からはかなり遠く、また同時に"生の勢いだけ"で別物へと変じさせるには余りに複雑過ぎる展開が仇となり、各パートのずれ加減が妙に生々しい違和感としてのみ響いてしまう瞬間がいくつかあった。元々の楽曲クオリティが高いだけあって「普通に良い曲」として成立してはいたけれど、例えばレディオヘッドのように、ライブにおいてもその圧倒的な世界を見せつけるまでの次元には至っていない感がした。そもそも彼らは結成してまだ4,5年のバンドであり、2ndのようなアルバムを創り上げたこと事態が異常とも言えるのかもしれないけれど。

そういった意味において、良くも悪くもオーディエンスとの距離の近さを感じさせる演奏は、だから1stからの楽曲において爆発的な昂揚を放つ。莫大な感傷のヴェールが舞い広がる"So Here We Are"も素晴らしく心地良かったが、オケレケの声が直接の起爆材となり、昂揚中枢へと本能的な切り込みをかけるギター/ドラムが襲いかかる"Like Eating Glass","Banquet","Positive Tension"といった楽曲はかなりヤバかった。踊り狂うことタコの如し。1stからの楽曲比率が増えた終盤にかけ、フロアの盛り上がりもどんどん上昇。アンコール最後は"Helicopter"でガッチリと決め、"Summer Sonic!"の言葉と共に80分のライブ終了。正直この内容で7000円超の出費は少しお高い感じもするが、楽しかったし素直に行って良かったと思えるような、そんなライブだった。

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