BLOC PARTY@CLUB VIJON

 急遽大阪公演が決まったBloc Party。仕事が終わり会場のクラブに電話してみるが、「当日券はあるかどうか分からない」という、なんともよく分からないお答えをいただいた(笑)。とりあえず行ってみることに。会場は堀江のよく買い物に行く店の近くだったので、前を何度も通ったことはあったものの存在は全く知らなかった。前売り客をさばく間しばし待たされ、とりあえず入れることに。地下へ降り、バースペースを抜け、フロアへ通じる扉を開ける、、、狭ッ!!!100人も入ればギュウギュウになりそうなフロアは、すでにビッシリとオーディエンスで埋まっており、そのフロアへ降りる小階段にも人が立っているため、全く前へ進むことができない。結果、最後方に設置されたPAブースと柱の間からステージを覗き見るという、これまでにない観覧方法を体験することになった。

 そして定刻18:30、メンバー登場。ロンドンを拠点とする4人組は、視覚的にもけっこう個性的。音に関してはニューウェイブ系のバンドということしか知らず(しかもニューウェイブサウンドがどんなものなのかよく分かってない)、音源も持っていなかったものの、のっけからハーケンを打ち込むように強靭なビートを叩き出すドラムスに体が即応する。そのドラムラインに、金属的な響きの鋭いギターリフと、重い音塊を連射するベースが加わり、これで踊らずしてどこで踊る!?と言いたくなるようなダンサンブルなサウンドを展開。正直思っていたよりもずっとカッコ良い。小さなハコなので音質面では期待していなかったんだけど、各楽器の鳴り具合/バランスも非常に良い。

 ポスト・パンク/ニューウェイブで括られているバンドだが、各パートが弾き出すフレーズが非常にメロディアスなため、その手のバンド(Raptureとか)に特有の痛々しい感じがしない。一方でそのメロディラインに対し、ほぼ一定のキーで歌うKeleの声の硬質な響きにより、フランツ・フェルディナンドほどポップになりすぎず、適度なテンションを孕んだまま展開される楽曲が小気味良い。細かな転調・小休止や、エフェクトがけたギターを飛び道具的に使うことにより、各曲に上手く差異を設け飽きさせない。中盤で演った、Mogwai!?と一瞬見紛うような柔らかな質感のギターのベールを泳がせ、そのベールを切り裂くようにエッジの効いたリフが切り込み・加速していく展開を見せた楽曲が特に良かった。

 会場が狭いこともあり、メンバーとオーディエンスの対話もいつもよりずっと多く、「みんな良いクリスマス過ごせよ」というボーカルに対して「あなたもね!」と誰かが返し、「たぶん俺は家で寝てる」と言った微妙に面白い掛け合いも所々で見受けられた。今回も1時間足らずのライブだったけれど(最近短いのばっかりだ)、非常に良質な1時間だったように思う。終わりがけに「5月にまた来るよ」って言ってたので、来年発売のアルバムを聴き込んでまた観てみたい。



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