ZAK RILES/S.T

★★★★

GRAILSのギタリスト/William Zakary Rilesによるソロ・プロジェクト。同じくGRAILSからWilliam Slater(チェンバロ)、近年のアルバムにサポートとして加わっているJordan Hudson(パーカッション、ヴィヴラフォン)、Kate O'brien(ヴァイオリン)が参加。

GRAILSといえば、現在ではOMのドラマーも務めるEmil Aimosこそが核だと思っていたんだが、実際のキーマンはこのZakかも。特にGRAILS初期頃のオリエンタリズム溢れるサウンド・スケープが好みならば、今作は絶対に買い。非日常的な愉悦を誘うアコギの波に、異様を重ねるようにサイレンが鳴り響く"Pacific Siren"を皮切りに、絢爛たるオリエンタリズムの波が溢れ、うねりをもって流れ出す。重厚なサイケデリアに揉みしだかれる前半部から、起伏を落としたシネマティックな音景、パーカッシヴなギター/リズムの飛礫に洗われる中後半へと流れていく。轟き炸裂する雷鳴と共に、しかし反対に嵐の後に射す陽光めいた明るさを感じさせるメロディが進行するラスト"Chloe"で幕を閉じるまで、シンプルだが非常に味わい深い世界が提示されている。素晴らしい。

http://www.myspace.com/wmzacharyriles