OM/Pilgrimage

★★★☆

一部では現人神の如く崇拝される、ドゥーム/ストーナー系の伝説/Sleep。そのSleepの解散後、メンバーのアル・シスネロス(b,vo)/クリス・ハキアス(ds)の2人の手で始められたのがこのOM。本作は3rdアルバムにあたる。プロデューサーはスティーヴ・アルビニ。

全30分超が四節に分かれて繰り延べられる全体構成。陰影の濃度を中長期的に濃淡させつつ、ひたすらに酩酊的な反復を繰り返すリフと、まるで読経のような"歌"がぐうるぐうると空間を回す。たわみ、蠢き、膨れ上がる濃密な音像。重く垂れ込め、ユルリ纏わりつく分厚い音塊は、空間自体が寝具になるような独特の充足感を放出。浮遊感、と言ってもよさそうなタム/ハイハットの明瞭な響きが、全像を悠然と動かしていく。

正直、せまっちい家の中で近隣の苦情を気にしつつみみっちく聴いてててもさして気持ち良くないんだが、ハマるシチュエーションを作って聴けばこれほどキモチの良い音はないんだろう。そんなアルバム。

01. Pilgrimage 10:33
02. Unitive Knowledge Of The Godhead 05:50
03. Bhima's Theme 11:41
04. Pilgrimage (Reprise) 04:13

God Is Good

★★★☆

Chris Hakiusに代わる新ドラマー、Emil Aimos(GRAILS)の加入後初となる4thスタジオアルバム。昨年6月のライブでもそのイロの違いはかなりハッキリ出ていたが、ドラマーの交代によって俄かにオリエンタルな色彩を強めた楽曲群は、個人的に相当好み。それもあってか、全曲を通じて抽象的に流されるパートはほとんどなく、始終において非常に明確な「ツカミ」の強さが感じられる。

輪廻する屈強なリフと、同じく空間を巡り廻る読経風のヴォーカルが凄まじくキモチイイTr.1"Thebes"に始まり、「叩く」というよりは「そよぐ」ようなEmilの特徴的なドラミングに掴まれるままに引きずられ、果ては古色蒼然としたオリエンタリズムが溢れ出すラストにかけては、GRAILSの楽曲とも大部分でクロスする妖しい景色と気配に取り巻かれる。SLEEPにしてもそうだが、とにかく入り込み易い「危なさ」が満開。マジモンのヤヴァサみたいなのは無くともこの昂揚感は素晴らしい。ドローン一辺倒の「ドゥーム」がキライな身としては、今作のようなストレートで純度の高い内容にはたまらずウハウハしてしまうのでね、コレはおすすめヨ!

http://www.myspace.com/variationsontheme