WOODEN SHJIPS/Volume.1

★★★★

San Francisco発のサイケガレージ・カルテットによる、こちら初期レア音源(ってか存在自体全然メジャーじゃなさそうだが、まぁともかく)全6曲をコンパイルした変則盤。Holy Mountainからリリースされてるも一つのアルバムは聴いてないので知らんが、Comets On Fireとはまた違った方角で鳴らされるWest Coastサイケ・サウンドが最高ですっ。

ベース(もしくはオルガン)の超チープなリズムが反復し、反復し、それはそれはキャッチーに反復。リヴァーヴの波で溺死しそうなまでに正体を無くした声がワァワァと煽動し、ずぶずぶのファズギターが割れんばかりの喚声でもって昂揚中枢をグデグデに致します。

壊れたテープのようなリピートの洪水が強烈な酩酊感を誘うアタマの2発でありますが、ホントにテープ壊れちゃったよ!みたいなブツ切りのナレーションが微弱な単音Keyの影から洩れ聴こえるTr.3"Space Clothes"なんてばかなりアヤシイ。中盤以降のトラックではSpacemen 3化が一層進み、ラストの"SOL'07"なんかは11分超。これまた人をダメにするグデグデの恍惚に塗れていてイイわぁ。たぶんライブ音源。

すげーダサイんだけど、なんかオシャレな感じもするポンコツサウンド。ポンコツ?いやポンコツってか奇妙だな。何か知らんが巻かれちゃう。ワシこういうの大好き!Spacemen3の影響大!とか書こうと思ったけど、CLINICとか好きな人もイケちゃうと思うよ。じゃね。

Dos

★★★★

反復の美学ここに極まれり
US西海岸発ミニマルサイケデリック・ガレージ、09年発のNEWアルバム。全5曲/38分間で泳がしズブズブに溺れさせてみせる私的で素敵な小宇宙デス。SPACEMEN 3系譜の酩酊に、CLINICばりの怪しさが溶解してどこまでもトベる!このキモチ良さはヤッバイ!死ぬネ。

ギャアギャアわめき散らすファズ・ギターを後ろに、脱力のKey/ヨレヨレのヴォーカル/果てなくぶっ飛ぶソロ・ギターが三つ巴でアガっていくオープナー"Motorbike"で早くも脱魂。生の熱気や粗さを全開に、並ならぬストイックさでひたすらの反復で鼓膜を叩くリズムセクションへ、そこにソッと添えられるまるで生気の感じられない蜃気楼めいたヴォーカルが摩訶不思議な軽みを付帯。トータル40分近くに渡り、基本ずーっとこのパターン。そんな音像を託されて、気の向くまま自適にフリーク・アウトする奔放なエレクトリック・ギターソロと共にコチラもアチラの世界へ昇天。繰り返し、繰り返すその極上のウェーヴに巻かれて溺死するもよし、鳩かよ!という感じで首振りながら、ただただ非生産的な時間をディグ・アウトし続けるもよしの、とにもかくにも気色良すぎる怪盤だっポ。

Volume.2

★★★★

US西海岸発、腑抜けてGO!なサイケデリック/スペースロック。そもそも存在自体がレアとも言えるバンドの「レア・トラックス」のコンパイル盤第2弾だが、当初より一貫して変わらない、そのほとんど金太郎飴のようなサウンド・スタイルはもはやお見事と言えようか。現シーンにおけるこの立ち居地/魅力には、例えばCLINICなんかと同種のニオイがいたします。

つまりは反復・反復・反復のリズムが織り成すジャンキーな酩酊感。やさしいのか荒いのか、なんとも言いかねる旋回型のガレージ・ロック。寸分も乱れず同一のフレーズを叩き置くベースに、着地点を全く決めてなさそうなKeyがヘロヘロと蛇行を繰り返し、そこへリズムを、気が向けばマッシヴなリフを打ち込むザラザラと歪んだギター・リフが加わって、いつ果てるともしれない(ある意味ストイックですらある)音をどよもしている。だーれも褒めちゃくれんから自分で喝采してやるわ!という意味かどーなのかは不明だが、"Live"と銘打った満場の喝采が浴びせられる"Death's Not Your Friend (Live)"はじめ、端々の音響効果には常にない「コダワリ」が見え隠れしているが、とはいえやはり、全般を貫く「美学」は先に述べたとおり全く曇りなくヘロっております。

http://www.myspace.com/woodenshjips