COMETS ON FIRE/Blue Cathedral

★★★★

 US西海岸を拠点とする4人組(5人かもしれない)、Comets On Fireの3rd。リリースはSUB POPより。狂的に歪んだサイケデリックな音像が、強烈にウネるグルーヴに乗って叩きつけられる。

 泥臭く、荒く、猛々しいブルージーなサイケデリックガレージ。70'sの生々しい熱量・質感を放射する骨太なリズム隊、空間を歪みに歪ませるロッキンなディストーション、ワウギターの咆哮。暴風雨の如く荒れ狂うアンサンブルの壁に、Vo.Ethan Millerの絶叫が強烈な痕跡をもって刻みこまれるTr.1・3・5。一方、Tr.2"Pussy Foot The Duke"などでは、Yes!を想起せずにはいられないファンタジックな鍵盤楽器が煌びやかに乱舞し、プログレッシヴなギターリフを対とした浮遊感溢れるサウンドをブチ撒け、Tr.6"Brotherhood Of The Harvest"でも、ピンク・フロイドの"Breath"を過剰装飾したかのような幻想的インストサウンドを奏で上げる。

 狂人の打ち鳴らす強靭なグルーヴ。その音の兇刃はしかし、とてつもなくストレートな熱を孕んで聴き手の昂揚神経へと突き刺さる。渦巻くロックのダイナミズム、昂揚感はIcarus Lineに大きく通ずるものを感じる。独創的にして強い、熱く厚い轟音渦巻く快作。

http://www.subpop.com/bands/comets_on_fire/

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★★★★

先頃リリースされたHowlin Rainとしての新譜も素晴らしかった、Ethan Miller率いるUS西海岸のスペーシーなサイケデリック・ハードロックバンドの4th。相も変わらず時代を錯誤しまくったステキな轟音を叩き出している。

60sサイケデリアの恍惚と、70sロックンロールの熱く、泥臭いグルーヴを醸成するパワフルな狂人ぶりはそのままに、今作では狂的に錯綜していたフィードバック・ノイズに変え、リヴァーヴがかったギター・リフ、ハモンド・オルガンの暖かな質感が巧みに組み込まれ、狂的な熱狂と深い夜の安息が同居する、昂揚と恍惚、安息が渾然となって押し寄せるような、素晴らしい音の饗宴が繰り広げられている。

Tr.1"Dogwood Rust "を始めとし、ほとんど全ての楽曲において自然発生的に沸き起こる、タフなリズム隊を基調とした屈強なセッションがとんでもなくカッコ良い。何とも言えぬ色香を放つEthanのボーカリゼーションもまた素晴らしく、暗闇の中を浮上するキーボードの旋律とともに強烈な磁場を形成している。逆巻く怒涛の音塊に引きずり込まれ、引き回され、脳内をぐっちゃぐちゃに攪拌されるこの快楽。前作からまた大きく一歩、階段を上がった感のある快作。

http://www.myspace.com/3283128