VANESSA VAN BASTEN/Psygnosis EP

★★★★

PELICANばりの轟音百景、旅情に近しいノスタルジーで琴線を洗うLIGHTS OUT ASIA、そこに90sグランジの鈍い煌きを落とし込めばこうなるかしらん、、、といった音像を繰り広げるのがこのイタリアの2人組/Vanessa Van Basten。本作は06年発のデビュー盤に続く、全2曲/22分の新作です。

津波のようなな轟音が悠然と景色を揺り動かすTr.1"Tutto Avanti All'indietro"
蒼の炎をイメージさせるギターが鳴り渡る中、疾走する轟音に全景が舐め尽され、艶かしく豊かな情感が轟然と流れ出す。銀色の驟雨が降り篭めるような轟音が見舞う、終盤にかけてのMY VITRIOLばりの爆音情景に思わず、背筋を興奮が駆け上り、毛穴という毛穴がざわめき立つ。続くTr.2"Psygnosis"では一層広大な景色が描かれる。寂寥感の極地をゆく美しいマーチング・ドラムから、幽玄として揺れる中間部へ、そして再びグランジ系譜の艶めく轟音へと堕ちていく14分に及ばんとするインストゥルメンテーション。さながら一つの短編映画を観終わった後のような豊かな情感を植えつける展開に、期せず全神経は釘付けに。その楽曲が揺さぶり起こす豊潤なイメージは、並み居るインストバンドなど歯牙にもかけず超然として鳴り響いて聴こえる。豪奢なハンドメイド仕様のジャケット・アート/ブックレットもたいそう美しくて良い。

http://www.myspace.com/vanessavanbasten