THE TWILIGHT SAD/Fourteen Autumns And Fifteen Winters

★★★★

Glasgowの4ピースによるデビュー・フル。リリースはFat Catより。いにしえのシューゲイズサウンドを巧みに取り込み溶け込ませたサウンドは、その音の響きだけ取るならば、Longwave辺りに通じそうなジェントルな光の世界。

柔らかに煙る、美麗なフィードバックノイズの成層圏。煌びやかなクリアギターが眩いノスタルジアを描き出し、その霞がかった憧憬の中を力強いドラミングがマーチする。ゆったりとしたリフレインと共に次第に高度を上げるメロディは、英国的な気品と同時に、しかしどこかアメリカのバンドっぽい底知れぬ闇を匂わせる。

独特な訛りを持つJames Grahamのエモーショナルなヴォーカルが、瞬間燃焼的な華やぎを見せつけるTr.7"And She Would Darken The Memory"、その炸裂する音場がFlaming Lipsばりのファンタジックワールドを描くTr.5"Talking With Fireworks/Here, It Never Snowed"あたりも印象的だが、ベストトラックはTr.2"That Summer, At Home I Had Become The Invisible Boy "。フィードバックノイズ/ギターのヴェール、アナログな質感の鍵盤の旋律が、分厚くも浮遊感のあるレイヤードを描き、そこへかなり不気味な詞を歌うJamesの声が被さる楽曲は、闇の華やぎとでもいうような、Interpolの世界観ともクロスする昂揚を放っている。

全体として大きく奇を衒ったところが無い分、他フィールドのリスナーを巻き込むだけの強引さは持ち得ないけれど、逆に言えばこの手のサウンドが好きな人には必ず届くであろう、高いクオリティを持った作品。先に挙げたバンド、あるいはDave Fridmanの音処理なんかが好きな人は、是非一度聴いてみてください。

http://www.myspace.com/thetwilightsad