SHELTER RED/Masters Of The Universe

★★★★

派手なタイトルが眼を惹く、オレゴン州ポートランドのインストゥルメンタル・トリオによる1st(05年作)。さてはHAWKWIND印のトリッピンなサウンドか、はたまた深淵なるドゥーム系かと思ったがちと違う。複雑な音の構築と、ギラつく獰猛を惜しみなく吐き出す獣性の相乗っぷりは、Relapse所属のバンドのそれを思わせる。

攻撃的な音塊をポリリズミカルに絡め合い、唸りを上げ牙を剥くブレイクを入れ子に展開。漆黒の中、昂揚のキラメキを散らすギター・ワーク/各所で発破を仕掛ける重量級のリズムなど、最近のドンキャバにも似て響くサウンドながら、恐らく楽曲の完成度で言えばこちらのほうが上かしら。爆音の合算によるダイナミックな展開/波状の昂揚感は、PELICAN辺りのインスト・メタル好きも喜ばせるはず。時折入る鍵盤によるスペーシーな空間伸張や、耳を喜ばしむるメロの選択もかなり巧み。強烈な個性めいたモノが無いところは難と言えば難だが、ひとたび耳を傾ければ、ほぼ間違いなく最後まで引っ掴んで連れて行くだけのモノがある。09年1月には2ndアルバムのリリースを予定。化ける要素は大アリではないかしら。

Strike A Mortal Terror

★★★★☆

好内容のデビュー盤から、さらに大きく化けました2ndフル。高域で猛然とブン回されるギターがその他の爆音が、いきなりのラッシュで圧倒するオープニングからしてズドビシッ!とキマりまくって全沸騰。マス通過後のポストロック、、、っちゅう形容ではもはや収まりがつきまへん。マスロックの幾何的素因を、本能的衝動的にブチ撒けられるセンスと言えばイイのでしょーか。この辺、最近いくつかの若手バンドに共通して垣間見られる、明らかに新しい一つの潮流だと感じマス。

とにかく音が分厚く、太い。変拍子のコチャコチャとした部分をまるで感じさせず、複数の丸太でぶん殴るような音塊がリズムがフレーズが、身構える間すら与えず四方八方からブチ込まれて掻っ攫い、アッパーに突き上げ、踊りかかって揺さぶりにかかる。音が「鳴る」というより、リズムが「炸裂する」、フレーズが「爆発する」と形容したくなる音像は、小手先の計算を微塵も感じさせぬダイナミックな劇性に満ちている。先に感想を書いたADEBISI SHANKや、今度取り上げる予定のAND SO I WATCH YOU FROM AFARと並び、ポストロックでもマスでもポストメタルでもないこの独特の音場には、これまでにないユニークな刺激力&魅力がギンギンに漲っておりマスる。

http://www.myspace.com/shelterrock