ADEBISI SHANK/This Is The Cover Of The E.P Of A Band Called Adebisi Shank

★★★★☆

アイルランドのインストゥルメンタル・トリオによるデビューE.P。タワレコにて試聴→即買いという最近では稀なパターンで出会った良作。自分が観た神戸公演には出てなかったが、先のLITEレコ発ツアーにも同行しており既に来日済みらしい。

マスな気質も孕んだ爆裂インスト4曲を収録。激しくリリカルに、無駄を削ぎ落とした情熱を叩きつける楽曲群が最強にキモチ良い。やたらと圧のあるバス/シンバルを刻むドラムはストレート。同じくフレージングよりも拍の強さこそを印象づけるベースプレイもナイス。

Tr.1"Horse"は粒立ちの良いベース/小気味よく刻まれ同期するドラムを基軸に、精錬されたギター・リフが爆裂するアッパーな内容。蒼々として激烈にヒステリックにと表情を変えていくこのギターが、先のリズム隊の上で抜群にイキてくる。続く"Jump Cut"も同様で、リズム・チェンジや転調のスマートさは超ナチュラル、かつエフェクターの踏み分けによりクルクルと表情を変える豪快な表層が、若々しい熱気を余すところなく叩きつけ実に潔く転結する。

テクニカルさが楽曲の勢いやキャッチーさを際立たせる方向で働いてる点で、昨年ハマったYou Slut!にも相似。フットワークの軽さや、その結果としてのダイナミズムに悶絶昏倒。のっけからアグレッシヴな展開でフン掴み、飛び道具的なギター音をかまして一気にドライブする"You Shouldn't Be In White"がベスト。ラストの"Caddyshank"もヘンに構えることなくど真ん中のダイナミズムを炸裂させて去っていく。とりあえず、E.Pとしての出来は最高で文句なし。アルバムでこの勢いを殺さずに行けるなら、それはもう素晴らしいモノになるでせう。期待大!

This Is The Cover Of The Album Of A Band Called Adebisi Shank

★★★★

08年リリースの1stフル。テキパキと振り分けブン投げられる音塊が、弩直に健やかに頭をブチ抜く「健全」なロックンロール。

そのタタミ掛けに変則拍子を折り込みつつも、基本のリズムは1,2,3,4のストレート。キレ味抜群のジャブとフックで軽快に猛攻するサウンドは、ヘヴィ級の破壊力と引き換えに3者がリズミカルに打ち合うスリルや興奮を満載。中でも蜜蜂めいてブンブン飛び交うギターがウハハ特異で素晴らしく、数多エフェクトの花粉を浴びて怒涛の襲来。ノイズまみれのクラッシュ音から高速タップが織り成すマジカルなフレーズまで、文字通りサウンドの核となりひたすらアグレッシヴに引っ張っていく。

数箇所で差し込まれるヴォコーダーの音声は、エフェクトがかったリフとも混じって時折80sディスコ・ファンクの匂いも放つ。とは言え演ってる本人らにそんな意識は皆無かも。ひたすら互いを触発し、やたら性急に絡み合うアンサンブルは、アタマで考えるよかまず動く、その若さこそが印象的。唯一にして細大の「残念どころ」はそのサウンド・プロダクション。音の芯(つまりは重低音)を乱暴なまでに強調していたE.Pに比して、今作ではバランス重視のフラット志向。メロディやエフェクト面が上向いた分、強烈な胎動がやや耳に優しくなってもた。それ以外は文句なし。全8曲23分の衝撃は、繰り返しのリピートを促す中毒性にも充ちている。

http://www.myspace.com/adebisishank