ROYAL BATHS/Better Luck Next Life

★★★★

霞む鉛色、リヴァーヴの退廃。

ありがちな例えながら、THE VELVET UNDERGROUNDの亡霊を思わせる歪なガレージ・ロック。米国発/Jeremy CoxとJigmae Baerの2人が鳴らすそのサウンドは、例えばTHE WARLOCKSBLACK ANGELSら「US西海岸一派」の退廃的だからこそ甘美なサイケデリアとはまた一味違う、不穏な棘を感じさせる。音自体が性急に突っ走るわけではないが、その棘には「PUNK」と呼んで差し支えないラディカルな気配すら匂う。

先のVelvetsを思わせる軋みツイストしキリモミするギター、生々しいリズムと仄暗いヴォーカル。しかしよくあるフォロワーに見られる類のアーティスティックな気取りはまるで感じられない。そこではただただ、純然たる「サイケデリック・ガレージ」という名の亡霊が立ち昇り、揺れている。そして特筆すべきは、その鈍色の単調を描き分ける巧さだろうか。ズブズブと誘い込む音像はときおり催眠的でありつつも、多くにおいて覚醒的な兆弾を放っている。だから、気怠るくありつつもそれがダレることはない。この中毒性は、ちょっと、ない。半永久的なリピートを誘う蠱惑的なアルバム。

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