RADIO MOSCOW/S.T

★★★★

Iowa発のレトロ・ガレージ・ブルーズバンドによる1st。激渋のギター・リフが燻らされ、泥臭いファットな音壁が緩やかに血沸き肉踊らせる。Bass担当のLuke Daffと、ギター/ドラムを兼ねるParker Griggsの2人組(※ライブではKeith Richがドラムとして加わりトリオ編成でプレイする)。まだ20歳そこそこらしいが、自在に楽器を歌わせるスキルはかなりのもの。プロデュースを手掛けるのはBlack KeysのDan Auerbach。スタジオ盤ながら生々しい熱気が篭っている。

ワウワウ・リフが爆走する"introduction"で導入し、荒野を進むブルーズ・リフが炸裂する"Frustrating Sound"へと繋がる。蠱惑的にまた荒々しく掴み揺さぶるアンサンブルのなんちゅう格好の良いことか。色香すら感じるスライド奏法や、シャッフルビートの荒々しい拍動など、ブルーズ・マナーを血肉にした熱い枠組みを携えながら、ただの白人ブルーズで終わらない発展要素も備えている。

即ち、ほとんどの楽曲においてかなり大胆なリズム・チェンジが行われ、暴発気味のソロ・ギターがギャンギャンと唸りを上げ軋みロールする。Comets On Fireもこれ如何に!?と鼻息荒くなりそうなぶっ飛んだエクスタシー。ジミヘンばりに過激なリフ主体の荒々しいアンサンブルを随所で炸裂させ、重さや激しさを求むる人々の欲望を充たして余りうる。

ツカミが甘い楽曲も、進むにつれ確実にコチラを燃やし尽くして灰燼。Dan Auerbachも参加する"Deep Blue Sea"での対話するようなギターの協演もめちゃくちゃカッコイイ。おりそうで意外と少ないこの手のサウンド。こういう実力ある新人こそもっと売れればいいのになぁと思ったり。デビュー盤としては申し分ない素晴らしい1枚。

Brain Cycles

★★★★

時流なんざお構いなく我が道を爆走するBLUES ROCK。ギター&ドラムのParker Griggs/ベースのLuke Daffの2者で叩き出す爆煙グルーヴ。07年発のデビュー盤よりいっそう濃いぃコトになっちゃった2ndアルバムがこちら。

ツカミは言うほど強くない。が、引き込む力が馬鹿デカイ。ゆったり燻らされる野太いリフが、転回のたびに熱気を孕んでイク様に、お部屋の温度も知らず上昇。音だけ聴いてりゃ、まさかこれを24&19歳の人間が演ってるたぁ絶対思えん!もとはBLACK KEYSのDan Auerbachに見出されたバンドながら、単に泥臭いだけじゃなく、中でFUNKなイロやSOULなメロが抜群に光ってるところがめちゃキモチ良い。

Billy Cobham風のドラムフィルに彩られ、爆音ギターがソロを歌う"No Good Woman"を筆頭に、ジャズ・ファンクのマナーを感じさせるパートがあちこちに。つまりは一から十までをParker'sギター・プレイが席捲していた1stよりも、よりバンド然としたグルーヴを感じるのが今作です。リズムが誘い、ヴォーカルが持ちアゲて組み上がるアンサンブルの極上よ。ファンキーなフレーズがズバババッ!とキマりまくる"Hold On Me"、手綱を引き千切って走り出さんとするギターの猛りっぷりがタマラン"The Escape"がとりわけてのお気に入り。

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