近く1stアルバムをリリース予定のスウェーデン発3人組ポストロックバンド、Once
We WereのデビューEP。全5曲/26分、September MalevolenceやSeindenmattを擁するレーベル/Tenderversionより。
鈍い光を放つ鋼のドラミングが精緻にリズミカルに、時にランブルに叩き込まれ、硬質にしてミニマルなギターワークとともに厚い雲に覆われた原風景を描き出していく。
曇天の寒空が覆うモノクロームのランドスケープ
猛る波飛沫が幾度も幾度も海岸線を浸食する
Tr.4"Em"のPVに修められた映像の醸す感触が、このバンドの悠々たる音を物語っている。時折チャイミーなパーカッションが彩りを添えるものの、その音塊は無機質かつ硬派。そして無機物だからこその存在感・力強さに満ち満ちて、心地良い成層圏をもってリスナーを包み込む。キラキラとしたクリアギターの点描とバスドラムによる重い楔が織り成す導入部から、螺旋系のギターワーク/燦然と鳴り渡るハイハットにより舞い上がり、湧き起こるノイズに飲まれていく終曲"And
Then He Said Goodbye"に至るまで、美しい音の荒野が提示される良作。ダブルディスクだとの情報もあるデビューアルバムが非常に楽しみだ。
http://www.oncewewere.net/
先にデビューEPを紹介した、Swedenの3ピースによる1stフル。澱みなく流れる情感豊かなメロディと軽やかな律動を打ち立てるリズムラインが絡み合う、上質のインストゥルメンタル・サウンドを提示する。
毒の無い音、ではある。
陽性のセンチメンタリズムを醸すクリアギターの旋律が流れ去り、チャイミーな器楽と混じり合い、やがて緩やかな昂揚を描き出していく。Tracer
Amcにも通じるクリーンで、そして真摯なそのサウンドは本当にストレート。そこには大きな驚きや衝撃といったものは無い。
しかし、クセの無い真っ直ぐな楽曲群はかえってそのクオリティの高さをハッキリと感じさせる。メロディの素晴らしさもさることながら、なんと言っても秀逸なのがリズムセクション。時に夜空を埋める流星の煌めきを感じさせ、一方で早瀬の如く流麗に、やがて荒々しく断崖にて破砕するその塊は、巧みな展開のアクセントとして非常に効果的に響いてくる。
作品は、流麗にバーストする昂揚の瞬間を多く孕んだDisc Aと、霞んだ輪郭の音が心地良いまどろみを形成するDisc
Bの2枚組の仕様となっている。この手のサウンドが好きでない人を新たに引き込むほどではないけれど、この手のサウンドが好きな人にとっては頬が緩むことしきりの、そんな秀作。
www.myspace.com/oncewewere