マーキュリー・レヴの元ドラマー/Jimy ChambersをフロントマンとするOdiorneのデビューアルバム。ゲストミュージシャンとしてJonathan
DonahueやJason Molina(Longwave)も参加している。
オープニングトラック"Sirocco(Heavy Wish)"
大きな螺旋を描きながら上昇するポップソングの只中へ、美麗なシンセ/ストリングスを織り込みながら、凛として吹き荒れるブラスセクションが登場する終盤部へと雪崩れ込む。そして特筆すべきはjimyのその声。クリス・マーティンをも思わせる、穏やかながらも力強い光を湛えて聴き手の胸をスクラッチするボーカルは、かつてドラマーに甘んじていたという事実が信じられないほどに魅力的。その魅惑の歌声がホワイトノイズの海上で明滅し、エレクトリックギターとサクソフォンが穏やかな海戦を繰り広げるTr.3"Webs
Without Maps"で早くも一つ目のカタルシス。柔らかすぎるメロディが、雄大に蕩揺う器楽群とともに胸を鷲掴むTr.7"Crooked
Sky"、壮大なオーケストラル・ポップが奏で上げられるTr.8"Sirocco(The
Artery)"、2nd期のDovesを彷彿とさせる憂愁の上昇気流が形成されるTr.9"One
A Day"へと続く流れは壮麗にして圧巻。
冒頭に自分で書いておきながら言うのも何だけど、「マーキュリー・レヴの元ドラマー」といった形容は全く必要ない。とりあえず、といった感じで聴いたこちらの思惑を完全に引っくり返した、素晴らしくクオリティの高い作品。DovesやSea Rayのようなバンドが好きな人にも強くオススメします。
http://www.tunneldays.com/
http://www.myspace.com/odiorne