NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS/S.T

★★★★

既に2度の来日公演も果たしたから遅れること7ヶ月、眉毛兄弟のアニキがようやっとリリースした1stフルアルバム。

これまでシングルB面も追っかけていたようなOASISファンにとっては、今回収録された10トラックから大きなサプライズは感じないかもしれない。が、と同時にこの男のメロディセンスはやっぱり伊達じゃないとも思わされる。もはやクラシックともいえるノエル節により構築されたミドルテンポの骨太なギター・ロック。

大仰なコーラスとストリングスが重奏するオープナー"Everybody's On The Run"は、陰鬱さを取り払った"Carry Us All"のよう。今作では全般に、こうしたオーケストレーションやコーラスを背骨に据えたサウンドが印象的。それでいて、あくまで全面に立つのはそのグッドメロディとギター・ロックのダイナミズム。さらに嬉しいことに、そのメロディのニュアンスには、最近なかった往時のセンスも所々に感じられる。たとえばパンチの効いたリフ/リズムが炸裂する"AKA... What A Life!"は、かつてHelter Skelterをカヴァーしていた頃の匂いがあるし、個人的なベストトラック"AKA... Broken Arrow"では、2nd〜3rd期のそれを彷彿とさせる震えるような格好良さが一瞬だけど現れる。

初めてNoelソロ作の話題が出たのってもう何年前だったかしらん。当時そのデモ盤のブートまで買って聞いた記憶と比べれば、今作は比較にならないほどの好内容。正直、まだ自分の中で兄弟それぞれの活動をOASISと切り離して捉えることは出来ないんだけど、それぞれやりたいことやって、それで良いモノが生まれていく現状は悪くないとも思う。とりあえず年明け早々に決まった東京公演も、しっかりチケット押さえときました。楽しみ!

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