OASIS/Definitely Maybe

★★★★★

94年リリース。自分の人生の大きな一部分を占める存在となっているOasisの記念すべきデビューアルバム。 ホントこのふてぶてしさはなんなんだろ。冒頭からいきなり「俺はロックンロールスターだ!」 ってブチかまし、それが文句なしにハマるボーカリストなんてそうそういるもんじゃないと思う。 そんなストレートなロックンロールソングに続くTr.2 "Shakermaker"では、たゆたうメロディーにサイケな香りが感じられ、PVでは「生き埋め」にされるトニーの姿がちょっぴり可哀想な、不変の名曲"Live Forever"、 加えて"Up In The Sky"、"Bring It On Down"のようなガレージロック風味のサウンドもあれば、背後で轟音をかき鳴らすシューゲ譲りのギターが強烈な、隠れた名曲"Columbia"、 力強さと柔軟性を併せ持った"Supersonic"や"C&A"のような独自の色を持った曲、そしてこれだけの名曲群にも関わらず、初めてOasisを聴く人になぜか非常に受けが良いシンプルメロディーの"Digsy's Diner"や"Married With Children"など、普遍的なメロディーとサウンドの多様性を併せ持った最高のアルバム。さすがに若々しさは感じさせるものの、この時点で既にLiamの声の存在感には目を見張るものがあります。こんなバンドが出てくる瞬間にリアルタイムで立ち会ってみたかったなぁ・・・。

(What's The Story)Morning Glory?

★★★★★

95年リリースの2nd。前作で「生き埋め」にされたドラマーのトニー・マッキャロルは、シングル "Some Might Say"のリリースを最後に解雇され、新たにアラン・ホワイトが加入。そのアランの力強いドラミングが炸裂するTr.1"Hello"から始まるこのアルバム、ほんとにどこを切っても完璧なメロディーと圧倒的な存在感を誇るLiamのボーカルに圧倒される完全無欠の大名盤。

前作からさらに凄みを増したLiamのがなリ声が炸裂する"Roll With It"や、 何百回聴いても全く色あせない大合唱曲、"Don't Look Back In Anger"、印象的なギターフレーズからパワフルかつスリリングな局面に雪崩れ込む"Some Might Say"、 そして終曲にしてアルバムの全てを飲み込むように最高の高揚感を撒き散らしながら大団円を迎える"Champagne Supernova"に到るまで、Noelの神憑り的なソングライティングとLiamの圧倒的な存在感をもった声がシンクロした奇跡ともいえるアルバム。

Be Here Now

★★★★★

97年リリース。発売当初は絶賛されたものの、のちに一転してメディアからはこき下ろされた3rdアルバム。しかしながらこれぞ「Wall Of Guitar Sound」というべき重厚なサウンドスケープと、全作品中最も「Rock」という言葉が当てはまりそうな成熟したメロディーが存在しているこのアルバム、個人的にはOasisのアルバムの中でも1,2を争うぐらいに大好きな作品。

これまでに無くへヴィで男臭い世界を感じさせる"D'You Know What I Mean?"で幕を開け、荒々しいラウドギターが炸裂する"My Big Mouth"へと雪崩れ込み、格段に渋みを増したメロディーとNoelのボーカルが印象的な"Magic Pie"へ、そして従来の必殺の泣きメロに骨太さと流麗な響きをも備えてしまった"Stand By Me"や"Don't Go Away"、一般には駄曲と言われているのも目にするが、シンプルで分厚いロックチューンが最高の"I Hope, I Think, I Know"、ライブでは強烈にカッコ良い曲に変貌する"Fade In-Out"、そして9分超に渡って繰り広げられる"All Around The World"の至福の瞬間など、Goodメロディーと重厚に構築された音世界は聴き込むほどにその輝きを増していくように感じます。同一のメロディーとフレーズをリフレインする、Oasisの持ち味ともいえる手法を執拗なまでに繰り返し、結果としてプレイタイムが長くなっているところが酷評をくらった原因だとは思いますが、私はこの長大ともいえる曲展開において無駄な部分は一切無いと思います。Noelも口では「失敗作だった」とか言ってるけど、内心は絶対そうはおもってないはず。笑

The Masterplan

★★★★★

98年リリース。これまで発売されたシングルB面曲の中から、一応は"ファン投票によって選ばれた"ことになっている曲により構成されたベストアルバム。おそらくファンであれば誰しもが「なんでこの曲が入ってないんだ!?」と感じる部分があるとは思いますが、カップリングも名曲揃いなOasisなだけに、それはまぁ仕方ないかなといった感じもします。

それにしても本当にこれがB面の曲なのかと耳を疑いたくなるぐらい、素晴らしい曲群に埋め尽くされてます。ライブではお馴染みの"Acquiesce"や、2nd期のツアーにおける1発目の曲としても有名な超絶インストソング"The Swamp Song"。雄大なストリングスとNoelの爪弾くアコギの音色が最高な"Going Nowhere"、イントロが"Supersonic"にそっくりなものの、かなりの名曲"Listen Up"や、ライブでは滅多に披露されなかった泣きの名曲"Rockin' Chair"。そして韻を踏んだlyricsで意味の分かり難いものが多いOasisの曲群において、珍しくストレートに歌詞が飛び込んでくる"Stay Young"(この曲にはどれだけ勇気づけられたことか・・・)など、個々の素晴らしい曲と共に不思議とアルバムとしてのまとまりさえ感じさせてしまう「名盤」です。

Standing On The Shoulder OF Giants

★★★★

2000年リリースの4th。このアルバムを最後に初期メンバーであったギグジーとボーンヘッドが脱退し、アンディ・ベルとゲム・アーチャ-が加入。バンドとしてかなり不安定な時期に作られたアルバムということもあり、根底にはOasisサウンドともいうべき土台があるものの、これまでとはかなり肌触りの異なる作品になっている。

冒頭は70年代のワイト島フェスティバルの喧騒をサンプリングしたインストナンバー。続く"Go Let It Out"では前作譲りの雄大なメロディーがOasisらしいものの、シンセやキーボードの音色がこれまでとは全く異なる浮遊感のある幽玄的な雰囲気を醸し出している。続く"Who Feels Love"でその傾向はより顕著となり、「サイケ」というキーワードを持ち出さずにはいられないような、横揺れの気持良さを内包したサウンドが展開されていく。さらにこの路線を突き詰めた"Gas Panic!"や、今までにない暗さを感じさせるものの相変わらず良質のメロディーが存在するNoelボーカルのTr.7・Tr.8、そして「裏Champagne Supernova」との異名を持つ"Roll It Over"における覚醒感など、これまでにない魅力を備えた名曲もあり、冒頭〜Tr.3までの流れなど、これまでの最高傑作ともなりうる可能性を秘めていたアルバムだと思うんですが、Tr.4やTr.9のような単調な曲がせっかくの流れをぶち壊してしまっているように感じるのが残念なところ。

Familiar To Millions

★★★★☆

00年リリース。2000年7月21日に7万人を動員したウェンブリ-スタジアムでのライブを収録した Oasis初のライブアルバム。冒頭の「オウェイシス!オウェイシス!」の歓声だけで鳥肌もの(笑) Liamの声も絶好調ではないものの、この時期としては良い状態で、バンドのテンションも高いです。 そしてさすがにオフィシャルリリースだけあって音質も最高。 ライブにおける大合唱バンドとして有名なOasisだけに、これまで彼らのライブに触れたことの無い人には是非とも聴いて欲しいアルバムです。 日本ではNoelがなかなか客に歌わせてくれない"Don't Look Back In Anger"も、こちらでは問答無用の 大合唱がこだましています。出力が逆になっていてNoelのギターが左チャンネルから聴こえてくる という違和感はありますが、変なブート買う前にまずはこのアルバム聴いてみてください。

Heathen Chemistry

★★★★





Don't Believe The Truth

★★★★☆

 6thアルバム。3,4年のスパンで新譜を出し、来日する。ただ「そこに存在してくれるだけで満足してしまうバンド」になりつつあった彼らだが、今作はそんな私のような盲目的ファンの贔屓目を抜きに捉えても、「かなり良いアルバムだ」と断言できる。

 アンディ・ベル作、不動の貫禄と円熟味を感じさせる野太いロックチューンの"Turn Up The Sun"、終盤で揺らめくギター音が何とも言えない郷愁感を醸し出す。上層で連打されるキーボード/ドラムスの疾走感がヴェルヴェッツを思わせるTr.2"Muckey Fingers"は、メロではなくリズムにより精神を飛翔させる新しいタイプの楽曲。続くは今作中もっとも「オアシスらしい」合唱ナンバーTr.3"Lyla"、軽やかに跳躍するアコギと叙情的な歌が絡み合うリアム作"Love Like a Bomb"、そして過去最強のインパクトを持つイントロが飛び出す"The Importance Of Being Idle"(水戸黄門からパクッた!?笑)。とはいえ韻を踏んだ歌詞と粘っこいノエルのボーカルがシンクロする素晴らしい楽曲。馬鹿正直な"The Meaning Of Soul"で苦笑しかけるも、続く"Guess God Thinks I,m Abel"で驚かされる。素晴らしいメロディと強烈なインパクトを放つ締め方を併せ持ったこの曲は、リアムのソングライティング能力に瞠目させられる至上の1曲。Tr.8"Part Of The Queue"では、ジャングリーに弾き出されるアコギがとドラムスが泥臭い雰囲気を放つノエルお得意のナンバー。そしてアルバムは終盤へ。リフレインするlyricsと力強いリフ、背後で明滅するファズギターが融合し、ストレートな昂揚感を放つアンディ・ベル作"Keep The Dream Alive"、眩い光を放つ単音ギターのイントロに導かれ、重厚な音の洪水が溢れ出すゲム作"A Bell Will Ring"からクライマックスの"Let There Be Love"へと雪崩れ込む。「そこに愛がありますように、、、」主パートをリアムとノエルが歌い分ける、これまでに無い構成を持ったこの楽曲が放つ柔らかな光に包みこまれながら、アルバムは幕を閉じる。

 前作「Heathen Chemistry」では、新メンバー体制になったにも関わらず「オアシスらしさ」に固執しすぎた結果、何とも生気が無いというか、聴き手を引きずりこむものが何も無い作品になってしまったように思う。対する今作では、各々素晴らしいライティング能力を持ったメンバーがそれぞれの色を臆すことなく表現し、それがトータルとして見事に結びついている。「歴史的な名盤だ!」なんて大袈裟に書く気は毛頭ないけれど、オアシスはまだまだ現在進行形のバンドであることを再認識させてくれる素晴らしいアルバム。

Dig Out Your Soul

★★★★

前作"Don't Believe The Truth"から3年半の歳月を経てリリースされた7th。プロデューサーには引き続きDave Sardyを起用。一聴して判るが、楽曲スタイル/プロダクションは大きく変化。合唱を巻き起こすアンセミックなメロディは後退し、シンプル/ソリッドな疾走感もまた多くでそのナリを潜めている。代わって目立つのが、ルーツの多くをアメリカ寄りにしたような、スロウ・バーニングで加算的な展開。

リッケンの乾いたリフが反復して轟く"Bag It Up"でオヤ?と思わされ、続く"Turning"でも、同様に炸裂を見せないアダルトなグルーヴを意外に感じる。そのままノエルの粘っこい声が絡む"Waiting For The Rapture"へと突入する展開は、かつてない地味渋さではあるものの、そのネチっこいグルーヴが来るべき爆発を予感させ、遅漏の喜びとも言うべき快を放っており悪くない。

が、ようやくギアをチェンジしてキメにかかった"The Shock Of The Lightning"で迷走開始。一応は先行シングルにもなった楽曲だが、決定力に欠ける展開は先の3曲で溜め込んだ昂揚を放出させるに至らず、それらを単なるフラストレーションの沼地へ変えてしまう。Liamのレノン・ワナビーが悪い形で披露される"I'm Outta Time"や、Noelのソロアルバムに100曲でもブチ込めばいいさと言いたくなるTr.6,7に取り立てた魅力は皆無。実に中途半端にサイケ・ガレージな方角を向いた"To Be Where There's Life"、Liamの虚仮脅し的な作曲癖が悪い形でその単調さを際立たせる"Ain't Got Nothin'"で頭を抱え、スピリチュアルな陶酔とは無縁の「サイケデリック表層」な"The Nature Of Reality"へと続き、冒頭へ還るように地味で地味で地味に展開する"Soldier On"でなんと終わってしまう。

ノエルが書き、リアムが歌えばOASISである、というのは何時も色んなところで言われることだが、ハッキリ言ってこのバンドにバラエティなんてものは要らないし、まずスタイルありきで行こうとすれば不発に終わるってのがまだ解らないのかこのバカ兄弟は!!!うそ、ゴメン、愛してるけど。新生メンバーになったにも関わらず、妙に「OASISらしさ」に拘った5thはこれまでで唯一の失敗作だと思っていたが、楽曲の細部にばかり目が行ったような今作は、また違う方角から同じ轍を踏んでいる。さながら、ギャラガー兄弟がお気に入りを公言する若手バンド(KASABIAN,BRMC,Jet)を、意識的にかどうかは不明だが模して聴こえるプロダクションは、ちょっとフォローのしようのないぐらいにダサい。"らしさ"が熟成を伴って轟いた前作が素晴らしかっただけに、再びアヤフヤとした出来に戻った今作はもうおもっくそ不完全燃焼。これは誉める人が大変だろうなーといらぬ心配もしたくなる、一酸化炭素中毒でクラクラとした一枚。

http://www.myspace.com/oasis

BEADY EYE/Different Gear Still Speeding

★★★☆

現在分裂真っ最中!な眉毛兄弟の片割れ、リアム・ギャラガー率いる新バンドのデビュー盤。リアム、アンディ、ゲムそれぞれが作詞/作曲を手掛ける計13トラックを収録。

パンチはあるけどコシがない、というリアム作の楽曲に対するイメージは今作でも同じで、良くも悪くも迷いのないシンプル・チューンは、開始早々の専制パンチを最高点に、そこから上に突き抜ける瞬間が無い。そしてまた、今作では残る2人のメンバーによる楽曲も同様の感触で、それぞれのルーツや趣向がユニークな形で表現されることのない、あくまで「普遍的なロックンロール」風のトラックが続く。リアムのボーカルはそれだけで無二の存在感を放っているとはいえ、中盤にかけての弾けるばかりでグルーヴの希薄な展開は、正直ちと辛い。ただ、そこから終盤にかけては、ウマ味あるメロディ主体のミドル・チューンが比重を増して盛り返す。リアムの手による"WIGWAM"では、まだ突き抜けこそしないものの昂揚の片鱗がキラリと覗き、アンディ・ベル作曲の"The Beat Goes On"に至っては合唱必至のアンセミックな瞬間が訪れる。この展開の妙によってか、通して聴くと「意外と悪くない」という感想に落ち着く今作。ただし、往年のオアシスの名盤と比べて「傑作だ」と言うのは私にはムリ〜。

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