BEADY EYE/Different Gear Still Speeding

★★★☆

現在分裂真っ最中!な眉毛兄弟の片割れ、リアム・ギャラガー率いる新バンドのデビュー盤。リアム、アンディ、ゲムそれぞれが作詞/作曲を手掛ける計13トラックを収録。

パンチはあるけどコシがない、というリアム作の楽曲に対するイメージは今作でも同じで、良くも悪くも迷いのないシンプル・チューンは、開始早々の専制パンチを最高点に、そこから上に突き抜ける瞬間が無い。そしてまた、今作では残る2人のメンバーによる楽曲も同様の感触で、それぞれのルーツや趣向がユニークな形で表現されることのない、あくまで「普遍的なロックンロール」風のトラックが続く。リアムのボーカルはそれだけで無二の存在感を放っているとはいえ、中盤にかけての弾けるばかりでグルーヴの希薄な展開は、正直ちと辛い。ただ、そこから終盤にかけては、ウマ味あるメロディ主体のミドル・チューンが比重を増して盛り返す。リアムの手による"WIGWAM"では、まだ突き抜けこそしないものの昂揚の片鱗がキラリと覗き、アンディ・ベル作曲の"The Beat Goes On"に至っては合唱必至のアンセミックな瞬間が訪れる。この展開の妙によってか、通して聴くと「意外と悪くない」という感想に落ち着く今作。ただし、往年のオアシスの名盤と比べて「傑作だ」と言うのは私にはムリ〜。

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