MUGSTAR/S.T

★★★★

車列を組んで行軍するロッキン・リフ部隊に、フリーキーなサイケ・ノイズを塗して攪拌する、英国リヴァプールの4人組による1st。たぶんKINSKIもこういう音が演りたかったんだろうなーと(勝手に)思う、攻撃的なタテの刻みと横揺れの酩酊がベスト・マッチングした(意外と健全な)快楽サウンド。

HAWKWINDよりも貫通性が高く、EARTHLESSよりフラついている。高低を抑え込んだヘヴィ・リフで突き進むGuitar/Bassへ、とち狂ったSaxが踊りかかるTr.1"My Babyskull Has Not Yet Flowered"、雪崩れ込み、さらに愚直な反復で空間を掘削するTr.2"Crempogsmultron"、かたや白光の度合いを増したサイケデリックなグルーヴが渦巻くTr.4"Good Posture vs. Bad Posture"では、スペィシーなギター・エフェクト飛び交う序盤からMAXIMUM VOLUMEなラストの渾然へと展開。再び凶暴なリフ/リズムに溺れ死ぬTr.5"Floatation Tank"でも、猛然と転回する重機アンサンブルが次第にズブズブの爆音に呑み込まれていく。

鴉の鳴き声から始まるTr.6"Subtle Freak"では、揺らし系エフェクトを多用してサイケデリックな大波を醸成、Tr.7"Man With Supersight"ではGY!BEのクライマックス部分を引き延ばしたような暴力的な6分間を叩きつける。ホワイトノイズを捨て置くラストの1分曲などなど、荒々しい音像の中に出来のよいスマートさが感じられる。今思ったがSeven That Spellsの新譜にも近しいこのサウンド。良いです。オススメ!

Sun, Broken

★★★★

英リヴァプール発、宇宙掘削機型サイケデリア2010年作。そのデビュー盤と同様に、POWER KRAUTと形容したくなるザラつきフラついた爆音がアタマん中を一気にかき乱す!

短い周期で反復するノイジーなリフ/リズムに、サキソフォン/シンセ、あるいはパンキッシュな叫び声etcが投げ込まれて渾然。反復・反復・反復の中でまるで化学反応のように変化していくメロディ/フレーズが非常に快楽的。ぐるぐると経巡る酩酊感よりも、前へ前へ前へと驀進するその突撃っぷりの感触が強いところが特徴か。強引に巻き込みぶん回し、半暴力的なまでに踊れるサウンドが詰まってる。Tr.3"Today Is The Wrong Shape"みたくパンキッシュなフレーズが突き出る楽曲では、北欧AUDIONOMを思わせる白熱の光景も脳裏に浮かぶ。ラストでは再び冒頭のフィードバック・ノイズに立ち返り、ウロボロス的循環を形成。個人的にかなり好きなバンドの、裏切ることのない快作。

http://www.myspace.com/mugstar