MENISCUS/War Of Currents

★★★★

豪州シドニーのトリオによる1stフル。

豊かな情感のアンビエンスと、明晰に刻まれるリズムが織り成すポストロック。ロボティックなヴォイスがサンプリングされたオープナー"Room 3327"は緩やかな、しかしダイナミックな稜線で聴き手を惹きつけ、続く"130"では旋回するポリリズミックなギター・リフがMASERATIを彷彿とさせる螺旋型のグルーヴへと誘う。さらには量感溢れるドライヴィンなベースラインを主導に、豊かなエモーションを膨らませる"Immersion"などでは、ヴァイオリンこそないもののsgt.のそれと似た広がりのあるサウンドスケープを醸成。そしてその豊かに飽和して流れるサウンドスケープに、ときおり投げ込まれる人造的なサンプリングが絶妙な無機質さで全体をコーティングする、そのバランス感覚がなんともウマい。

琴線を一瞬で鷲掴むメロディセンスや、的確に鼓動を昂進させるビートの連なりには、聴けば必ず惹き込むだけの魅力が宿る。数多同型の中にあってキラリと光るものを感じさせる快作。

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