SGT./Stylus Fantasticus

★★★★

99年から活動を続ける東京のinstrumental rockバンドによる1stフル。ギター/ベース/ドラムにヴァイオリンから成る編成と、toeの美濃隆章がエンジニアに就いているという情報から音のあらかたをイメージできる人も多いはず。そんな好きモノの期待を裏切ることのない、高品位なインスト8曲を収録。

変拍子を滑らかに鳴らすテクニカルな側面と、猛る爆音で煽り立てる激しさを併せ持つ。ディレイを絡め、リズムの隙間に叙情を遊ばせる"すばらしき光"、夜を思わせるリズム隊のセッションと、美しく揺れ惑う管弦楽器が幻想的な景色を描くその名も"百夜"、ポストロック的アプローチで進む豊かな叙情のドラマを、峻烈に走るビートが鮮やかに分解する"声を出して考える方法"、超精密なリズムの構築物を、炸裂するフリーキーなサクソフォン/ヴァイオリン/鍵盤器楽が突き崩していく"再生と密室"、果ては愚直な反復で突き進む殺人ベース・ラインに、各人ブチ切れたカオティックな爆音の洪水で応酬する"囚人達のジレンマゲーム"や"ムノユラギ"といったキラー・チューンまで完全装備。

憂いの旋律で酔わすに止まらず、夜空のエレガンスに通じる清さも放つヴァイオリンを筆頭に、極自然的に、豊かで刺激的な音場を生み出していく演陣のセンスと技量が素晴らしい。曲名を見て「ケッ!」と鼻白むような端からの否定派を捻じ伏せるまでの強さがあるとまでは言えんが、小利巧に留まるレベルを軽く凌駕した充実のパフォーマンスは、同類群の中でも白眉。

http://www.myspace.com/sgtofficial