HOWLIN RAIN/S.T

★★★★

ココハイッタイイツナノダロウカ?

などというたわけたフレーズがひょっこりと脳裏に浮ぶ、完全に時代を錯誤した素敵なアルバム。本作は先に紹介したComets On Fireのフロントマン、Ethan Millerの別プロジェクトによる2ndアルバム。歪んだエレクトリック・ギターのリフが何とも刺激的に鳴り渡り、軽やかに叩き込まれるスネア、グルーヴィなベースとともにプリミティヴな音塊を弾き出す。3者が音で殴り合うかのようなあの緊張感はないものの、その絡み合いはさながらCREAMのライブ時の空気さえ彷彿とさせる。聴き手の胸をスクラッチするかのようなEthanのヴォーカルもまた非常に魅力的で、ストレートなサウンドに抜群の色づけ効果を持って空間に満ち満ちる。

しかししかし、さすがに奇態バンド・Comets On Fireのサイドプロジェクト。単なる過去の音の焼き直しで終わるはずが無く。Tr.2"Calling Lightning With A Scythe"
カントリーテイストの煌びやかなイントロから導かれる60sサウンドは、中盤でどこかタガが外れたかの様相で溢れ出す激烈なディストーション/フィードバックの渦に飲み込まれる。これが何とも刺激的。しつこいぐらいに繰り返される狂騒に、思わずニヤリ。随所でこうしたイッチャッタ展開を見せる今作。ロックの原初的な快楽に浸るもよし、はたまた奇人の織り成す轟音の狂騒に溺れるもよしな、1枚で2度美味しい良盤。

http://www.howlinrain.com/main.htm
http://www.birdmanrecords.com/howlinrain/l

Magnificent Fiend

★★★★

Comets On Fireのフロントマン/Ethan Millerによる別プロジェクトの第3弾。今回はいつものギター/ドラムス/ベースという形態に、リズムギターと鍵盤/管楽奏者を投入した基本5人(+α)な編成。

そのピアノラインがアダルトに踊り、茜色したサキソフォンが咽ぶオープニングはちょっとしたサプライズ。で、前作も確か2曲目がベストトラックだったけど、今回もキタヨキタヨなTr.2"Dancers At The End OF Time"。空間を旧き良きトキへと一気に塗り替えるKeyの旋律、キョーレツに歪んだギターがピュルピュル飛び交うお馴染み最興奮のアンサンブル。黒人女性のソレにも聴こえるEthanの中性的なヴォーカルの渋いこと渋ーいこと!今作ではそんな色気ある声が前面に浮上する、緩やか円弧のグルーヴナンバーが多いのが印象的。レイドバックしたリズムが醸す、芳しき昂揚のスパイラル。鍵盤の響きが刻み込まれるギターの咆哮が気色良過ぎてあぁ、いとも容易くワタシは天へと召されます。

サビの美メロで舞い上がり、終局の波状攻撃で昇天するTr.4"Lord Have Mercy"、意表を突くファンキッシュなギター・カッティングが飛び出すTr.7"Goodbye Ruby"は、これまた最後にアゲアゲなリフ・リズム・アンサンブルにて琴線/昂揚中枢を諸共に鷲掴む好内容。しっとりとしたメロディを、スペーシーに旋回するシンセとディストーション、アコースティックなピアノラインがキラキラと彩る終曲"Riverboat"でオシマイ。なんか思ってた以上に、この人らの出す音って好きかも!?と思わされた好盤。極楽♪

http://www.myspace.com/howlinrain