HOTEL WRECKING CITY TRADERS/Black Yolk

★★★★

豪州メルボルン発の轟音インストゥルメンタル・ユニットによる1stアルバム。『全身を奮わせ、脳内を純白に洗い上げる至福の爆音体験がアナタを待っている』
byオーストラリア政府観光局

まぁまぁともかく、Tr.2"The Lakeshore Strangler"を聴けば良い。MOGWAIのクライマックス前夜から始まるような楽曲は、のっけから喜色満面で白光するマッシヴなリフを悠然と敷き拡げ、その視線で射止めて放さないまま轟然と展開。その先に破裂する歓喜の瞬間はまさしく悶絶もの。ペダルの一踏により炸裂するほとんど大地の揺れを体感させるような超重厚ディストーションが、ただただひたすらに圧巻!!!超キモチイイ。吹き荒れるウォール・オブ・ノイズの美麗な衝撃は、コチャコチャとした言葉での形容を超えた喜びで総身を滅し奉公いたします。

ウヮンウヮンと快楽の空襲警報を鳴らす波状の轟音には、PELICAN(特に2nd期)の楽曲とも似た豪快なニュアンスも。およそ知的でないだけに、ファースト・インパクトの快楽衝動としてはコチラが上回る。豪州の大地を連想させるオープンエアな爆音が、吹き上がる砂塵でもって全容を一挙巨大なものに化けさせる手口がGOOD。崇高なる気配や宗教的な恍惚など全く無いが、音の系統としてはJESU辺りが好きな人にもウケると思う。

http://www.myspace.com/hotelwreckingcitytraders

HOTEL WRECKING CITY TRADERS & GARY ARCE

★★★★

轟音一色のスペクタクル

豪州メルボルンの ピースによる2011年発新作E.Pは、米国のpsych/stonerバンド、YAWNING MANのGary Arceとタッグを組んだ全2トラック/21分間で溢れ出す。PELICANあたりとその系譜を同じくするMassiveでMagnificentなMetalリフが綴る3M構造の基本は揺るがず、轟然と流れ出し充ちるその轟音は、どこか胎動する大地を思わせる圧倒的なスケールで展開する。

鼓膜を通して脳内ヴィジョンを塗りこめていくブリザードのような轟音ノイズ。鈍色の景色の中に打たれるリズムがキラキラと光り、埋没しそうな意識を鮮やかに射ち止める。音の起伏というよりは、押し引きする空間の密度自体で聴かせるサウンドながら、それがアンビエント/ドローンには拡散せず、終始一貫した前方向へのウネりとして鳴っているところが気持ちよい。ラストにかけて一気に押し寄せる地殻変動のような展開も然り。これはイヤホンではなくスピーカーで、出来うる限りの爆音で"浴びる"べき音楽。

Listen, Buy