JESU/Conqueror

★★★☆

元Godflesh/ジャスティン・K・ブロードリックによるバンド・イェスーの2ndフルアルバム。

垂れ籠める超重厚なディストーション/ノイズの雲間から、一筋の光の如くクリアギターの破片が降り注ぐ。暗黒と光。この究極ともいえる明暗のコントラストから成るサウンドは、強烈なヘヴィネスと浮遊感の同居する、孤高にそびえる圧倒的なスケールの轟音の壁を打ち立てていく。聴けば否応なく「神」だとか「救い」といった言葉が浮かんできそうな多幸感に満ちたこのサウンドは、これだけで何らかの洗脳が出来てしまいそうな、なかば宗教じみた恍惚を放出している。

個人的にはもう少し明快なリズムやメロディの上下動があるほうが好みだが、展開という展開にほとんど頼ることなく、終始ひたすらに渡ってその特異な音の基軸だけで聴き手を圧してしまうハイパー・サウンドは、やはり相当なインパクト。超重厚にして膨大なる浮遊感を醸す轟音の烈風。

いくつかのレビューにてその音に"シューゲイザー"の形容も充てられていたが、何かのスイッチが入ったかのように一気に噴出する爆音の恍惚感などは、最近だとScarlingのアルバムなんかに同様のモノを感じ取れる。特定のジャンルに囚われず、幅広いフィールドに揺さぶりをかける轟音に満ちた一枚。

http://www.myspace.com/jesujesu