いちのすけさんのレビューを読み購入を決めた一枚。米フィラデルフィアのセクステット、Espersの2nd。蜜な空気を孕んだ微細音が夢幻の中で反復し、「現在 私が 此処に 居る」という感覚をどんどんと浸食、心地よい模糊の世界へと連れ去ってくれる。
メランコリーの極地を行くような儚いギターフレーズに導かれ、生音・電子音が多層的に絡み合いながら、美しく静謐な昂揚感を湧き上がらせるTr.1"Dead
Wueen"。一方Tr.2"Widow's Weed"では、神秘的な空間においてのたうつディストーション・ギターのダイナミズムが、大好きなバンドGrailsを思わせ、細やかなアコギと伸びやかなスライドギターを軸に、プログレッシブに滑らかに展開していく音のヴェールが美しいTr.5"Madfield Add Cyclops"は、これまた大好きなバンドJanuaryと同質の、高次元のネオ・サイケデリアを現出させる。
フリー・フォーク/スロウ・コアという形容は、今の自分にとってあまり魅力的に映らないフレーズであるのだけれど、Espersが醸造するサイケデリックで儚く、圧倒的に美しい音象は、そうした単語による飾りなどどこ吹く風といったような、確固たる世界観を打ち出しているように思える。オススメです。
http://myspace.com/espers