JANUARY/I Heard Myself In You

★★★★☆

Januaryは英在住の4人組。当時なぜかpoptonesからリリースされるアルバムを買いまくってた時に出会ったバンド。たしかレコ屋では、「暖かな日差し溢れるギターポップ」みたいな感じで紹介されてたと思うんだけど、ギターポップというよりむしろシューゲイザー。その深みを持った音響空間が物凄く心地良く、どんな人がやってるんだ!?と気になって少し調べてみた。

lead vocalのsimon mcleanはオーストラリア出身で、以前Jupiterというシューゲイザーバンド(やっぱり)をやっていたらしい。そしてギター、ピアノ、オルガンで参加しているsarah peacockなる人物は、元Seefeelの中心メンバーで、自分は知らなかったんだがこのSeefeel、元祖ポストロックバンドと言われるほどにその筋では有名らしい。Januaryの音からマイブラにも通じるような甘美な音像空間を感じたのはそのためか。ちなみにバンドはlupine howlとも一緒にツアーをしていたりする。

クリーンなギターが少しカントリーティストを感じさせるメロディーを奏でながら積み重ねられ、simonの深みのあるボーカルが漂うJanuaryのサウンドは、そのままだと良質のギターバンドというだけで終わってしまいそうだけれども、そこに前述のsarahが鳴らす、体がとろけるようなスライドギターや柔らかなピアノが加わることにより、一気に深みのある音響空間へと変化する。特に凄いのがTr.1、6、9。たゆたうようなアコースティックギターに終盤でディストーションギターが洪水のようになだれ込んで来る瞬間の昂揚感はたまらない。9分超に及ぶ、プログレとも言えるようなTr.9の怒涛の展開もすごい。Nowhere期のRideの煌きに、60sサイケのフレーバーを加え、柔らな音響空間で包み込んだJanuaryの音は、温かさを含みながらも洗練された、気品さえも漂う現代版シューゲイザーといったところか。上記のバンドに一つでも引っかかるものがあった人は、聴いてみて損はないかも。

Motion Sickness

★★★★

1stアルバムリリース後、実はひそかに来日もしていたわりにはその後全く情報が無かったJanuaryの3年ぶりとなる2ndアルバム。このアルバムの製作を最後に、中心メンバーのSimon Mcleanを残してバンドは解散し、現在は新たなメンバーと共にツアーを周っているようです。

オープニングトラック"Paul O'Reilly"で聴かれるRadioheadの"There There"のようなエフェクトがかったドラミングや、"Signal Fire"で突如炸裂するノイジーギターなど、ところどころで前作には無かった粗い粒子を感じさせる瞬間があるものの、全体的に見ると一音一音の響きを非常に大切にしたミニマルな演奏が目に付く。それだけにSimonの語りかけるような歌声と、メランコリックながらそこに光を感じる抜群のメロディーがより強い印象をもって響いている。このメロディーセンスとすっぽりと聴き手を包み込むような音空間はお見事。そしてTr.7の"Sandwood"では、Simonの緩やかな渋い歌声と乾いたディストーションギター、そしてSarah Peacockの鳴らす甘美的なスライドギターが渾然一体となった極上の音響シューゲサウンドが奏でられています。気持ちよすぎ。

ただ、内容的には高品質ながら、これだけ待たされたわりに全8曲/33分という短さはちょっと物足りないかな。ちなみにTr.8ではYoko Onoの"Have You Seen a Horizon Lately"をカヴァーしています。悪く言えば少し地味なサウンドとも言えますが、音の響きやメロディーの美しさはかなりのもの。DovesやMontgolfier Brothersなんかが好きな人は一度聴いてみてください。
http://www.januarysongs.co.uk/SOUNDS.htm



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