EMPTY SPACE ORCHESTRA/S.T

★★★★

空間を自在に刷新するインストゥルメンタル

USオレゴン州の5人組による2011年作は、ノワールな闇色の中にprog/metal/jazzのピースが煌めくハイブリッド盤。ユニゾンを多用する魅惑のシンセ、あるいはリリカルに閃くピアノフレーズ。冷ややかに明滅するクリーントーンが乾いたテレキャス/有機質のブラスセクションに裁断され、やがてラウドなディストーション/ノイズの轟音渦に巻かれていく。冒頭"Brainjar"は、クリムゾンカラーの変拍子が暴れるナンバー。アナログで、どこか御伽噺のようにダークな幻想性を孕んだサウンドは最近だとCRIME IN CHOIRなんかと共通するが、こちらは特に後半へ行くほどより轟音ポストロッキンな気質が強まる。で、それがまたかったるくならずに格好イイのだ。ところどころでポッカリと大きな深淵を覗かせる怪奇的なニュアンスには、どこかGRAILSを彷彿とさせるオカルト的カラーも滲む。

ちなみにプロデュースにはRobert Cheek(Deftones,Tera Melos)が、ミキシングにはMatt Bayles(Mastodon,ISIS,FMTM)といった面子が就いており、この辺のバンドに食指が動くならとりあえず、要チェック。

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