SUMMER SONIC 09@大阪

昨年「来年はもうええわ」と思ったものの、MERCURY REVの出演が発表された瞬間に参戦を決定していた今年のSUMMER SONICの感想を以下に。SKYステージ初っ端のアクトだったRED LIGHT COMPANYを観るのを諦め、ゆったり遅めに家を出た。11時頃に桜島駅に到着し、並ぶこともなくシャトルバスへ乗車し会場へ。夏だから当たり前、とはいえむっちゃ暑いぞ!SONICステージへ篭りっきりになることを前提に日焼け止めすら塗らずに行ったんだけども、シャトルバスに乗るまでの5分間、並びにリストバンド交換して会場へ入るまでの10分間だけでかなりジリジリと肌が焼けた。さておき思ったよりも早く、11時20分頃にソニックステージへ入り、最前列で50分ほどボンヤリと涼みながら開演を待つ。

■12:15 SCHOOL OF SEVEN BELLS
Benjamin Curtis(ex.SECRET MACHINES)が結成した3ピースバンド。ステージにはそのBenjaminをフロントに、左右をキュートな女の子2人(シンセ&ギター)が固めるという見目にもキャッチーな編制。ちなみに彼女らは双子なんだとか。反復するリズムにエキゾチック&呪術的なニュアンスも醸すツインヴォーカルが戯れ降りかかり、そこへ表情豊かなエレクトロニカ、終には轟音を放つギターが転回して撃ち出されるグルーヴがなかなかにイイ!アルバムと比べてライブではギターの存在感がかなり強まっていたんだが、残念なことにキメの轟音部でそのギターが聞こえ辛かったため、アルバムよりも音のメリハリや彩色がやや薄まってしまっていた。とはいえ、80〜90sのCREATIONレーベル所属のバンドを聴いているかのようなサウンドは個人的な好みにハマって気持ちよかった。

■13:25 KYTE
どうしようもなく不味いフェス飯で昼をすませ、ビール片手にホロ酔い加減で会場へ戻るとスタンド席には「入場規制」がッ!そこまで人気があるとは思っていなかった英国の叙情系美メロバンド/Kyte。今年リリースされた新譜では部分部分で胸トキめく瞬間もあったため、とりあえずどんなステージングを見せるのか少し楽しみにしていた。が、感想としては正直「COLDPLAYの亜流にもならない」凡百な内容でガッカリ。アリーナでも退出する人の数が目立っていた。

■14:40 65DAYSOFSTATIC
次のMercury Revをどうしても最前で観たかったため、少しでも前に行っておこうと進んだところ一番前まで行けてしまった。06年のサマソニに続き、個人的に2度目の体験となる65daysofstaticデス。ハードコア畑の熱狂を、怜悧な質感のドラムンベースでザクザクと刻み分解・再構築してみせるインストゥルメンタル・ロック。みんな大好き"Await Rescue"はじめ、分かり良いブレイク感のある楽曲が立て続けに並んでおり盛り上がったんだが、ここでもメイン・ギターの出力が弱く(逆にリズム隊の出力はデカ過ぎる)、キメの部分でのカタルシスにはかなりの物足りなさを覚えてしまった。

■15:50 MERCURY REV
今日コレを観るためココに来た、と言っても過言ではない個人的なメイン・アクト。01年以来実に8年ぶりとなるMERCURY REV、、、と、舞台転換の始めからジョナサンをはじめメンバー全員がステージに現れ、自ら機材をチェックしていく。そういや8年前のサマソニもこうだったなぁ、、、と興奮しながら振り返っているうちに定刻、そして暗転。メンバーが眼前に現れた瞬間に興奮値はMAXIMUMだったんだが、やっぱスゲェー!!!という圧巻のステージング。8年前と比べやたらガタイのよくなっていたジョナサンだが、その強烈なパフォーマンスは微塵も変わらず。一発目"Snowflake In A Hot World"で満面の笑みと共にドラム乱打のジェスチャーを繰り返したかと思えば、続く"October Sunshine"では執拗なまでに片足立ちを貫いてみたりと、観る者を釘付けにする独特の姿態で空間を一気に「非日常」へと塗り替える。そのジョナサンをコンダクターに、背景のスクリーンにはlifeやbirth、あるいはblissといったフレーズが頭を過ぎる映像が投影され、完璧にシンクロした楽曲と共に無上の恍惚世界を作り出していく。グラスホッパーのボウ・ギターが巨大な轟音を噴出させていった"You're My Queen"はじめ、ライブだとまるで「別モノ」に化ける楽曲群はほんまに素晴らしく、刺激的。大好きな"goddess on a hiway"から、叩きだされる音塊がそれこそ「ビッグバン」めいていた"All Is Dream"へ続くクダリなんてもうホンに素晴らしかったんだが、同時に「an i know, it ain't gonna last...」のリフレインから「全ては夢」って行かれちゃうと、このまま終わったらあまりに切なすぎてイヤじゃぁ〜!とも思ってしまった。だけどもラストに待っていたのはブッ壊れたカラフルな狂気"Senses On Fire"でありまして、ひたすらにニギやかに、華やかで、騒々しく幕が引かれたのでした。8年待った分を埋め合わせるには全っ然足りんので、頼む!年内にまた単独で来てください。

■17:15 MEW
そのまま最前に残り、これまた大好きな北欧のバンド/Mewのライブを初体験。白のスポット一本で照らし出され、クッキリとした明暗が浮かぶステージ上へ現れたドラム/ベースが淡々と、荒々しい音を刻むオープニング。ステージ脇の暗闇から出てきたのがVo.のヨーナス、、、だったんだがとりあえず!カーディガンずり落ちそうなヨーナスはじめ、バンド全員正装なんだか着の身着のまま出てきたのか!?といったルックスでインパクト馬鹿デカ!この雰囲気はちょっと面白すぎる!まぁそれはさておき(ホントはもっと語りたいが)そのステージングは極上。新譜から挨拶代わりに"New Terrain"で導入、蹴躓くような変則リフが折り重なる"Introducing Palace Players"へと続く序盤で完璧に掴まれた。続く"Am I Wry? No"や"156"といったキラーチューンと比べると瞬間的な燃焼度こそ控えめながら、どうしてそうした楽曲がいわばお遊びに聴こえてしまうような深いダークネスを感じる新曲群はかなり良い。個人的にめちゃくちゃ好きな"Special"〜"Zoo Keeper's Boy"への流れで軽く昇り詰め(映し出される映像も、音世界とマッチしていて素晴らしい)、個人的なハイライトは続く"Sometimes Life Isn't Easy"だった。ドラマチックな序盤から、否応無く琴線を撃ち抜かれる終盤にかけての「感動的」な展開にズキュン。ラストはギターを残し、メンバーはいったん舞台袖へ。プチ・アンコール風に始まった"Comforting Sounds"で文字通り昇っていく10分間はまさしく「至福」のひと時でした。

■18:40 MOGWAI
単独で何度も観てるし、さすがにもういいか。でも他にコレといったものもないしとりあえず、、、といった感じでスタンド観戦を決め込んだモグワイでしたがゴメン、これがとんでもなく素晴らしかった。リハでは"Mega Snake"のイントロが弾かれたりしていたが、オープニングは"Batcat"。んでもってここで叩き出されたパーフェクトな轟音圧に思わずスタンドで「なんじゃこりゃ!」となり速攻でアリーナへ駆け下りることに。これまでのバンドとは一次元違って聴こえるその爆音と、波動のように押し寄せる圧の凄まじさは完全に別格。続く"I'm Jim Morrison, I'm Dead"で本日のモグワイの「凄さ」を確信し、"Hunted By A Freak"でめくるめくままに吹き飛ばされ、たぶん会場の多くが「来いッ!」と思っていたタイミングで"Helicon 1"がキタ瞬間にはもう、、、ね。4カウントののちに炸裂した、轟音のカーテンを幻視するような爆音に完全にヤラれ、周囲ともどもその轟音の中知らず絶叫していた。半ば放心状態のところへ波状で来たる"Ithica 27o9"でヘロヘロするうちに、スチュワートより「あと1曲演るよ」とのMCが、、、ってまだだいぶ時間アリマスがね、と思った瞬間、流れてきたのは"MFMK"の旋律デシタ。6年前に一度は聴いているこの曲だが、それと比べると今日のはうん百倍も素晴らしい完成度。奥歯が付け根からガタガタと鳴る「震動」のような轟音と、全身を舐め尽くす轟音ノイズの多重奏。「轟音」=「快楽」だということを改めて「体感」させてくれる圧巻の、圧倒的な音の壁。ラストでは激烈な閃光を放つフラッシュのもと、10分近くに渡りスチュワートが爆裂したノイズを繰り出し(というか遊んでるのか?)、人によっては地獄のような世界を現出させて終わった。個人的にはこれまで観たモグワイの中で、断トツの出来だった本日のライブだった。ラストはAphex Twinで30分ほど揺れ踊り、帰宅。何気に思っていた以上に満足度の高かった今年のサマソニだった。

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