MERCURY REV@BAYSIDE JENNY

マーキュリーレヴの大阪でのライブは、クアトロの10周年記念イベント「TIMELESS FLIGHT」というイベントに組み込まれる形で行われた。レヴの他にブッチャーズやくるりといったバンドが出演したわけだが、どっちのバンドもあまり観たくない私のような人間にとっては、肝心のバンドの演奏時間が短くなってしまうんだろうなぁと思い、正直嬉しくなかった。あと終電がわりと早いのでそれも気がかりだったり。

ともあれ会場に到着。海のそばの立地だけに、外で待っている時間がかなり寒くて辛かった。中に入り、ドリンク片手にブッチャーズとくるりを遠巻きに観戦。今日の客の大半はくるりのファンのようだ。岸田君が「今日はマーキュリーレヴさんのライブなんで、僕らはさっさと引き上げます」と発言。そうそう、よく分かってるやん、と思いながらぼーーーっとしているうちに両バンドの演奏が終わる。退場してくる人を掻き分けながら柵で囲われたブロックの中へ。

待つことしばし、メンバーが現れる。サマーソニックでの感動が忘れられない私はこの時点ですでに興奮状態。ジョナサンは相変わらずにこやか。そして1曲目、FUNNY BIRD!一音目が鳴った瞬間、肌に触れるフロアの空気が一変するような錯覚を覚えた。自分が今どこにいるのか、そういったことが全く分からなくなるぐらい、音に引き込まれる。もう一つ一つの音全てが美しい。グラスホッパーのギターが前面に押し出されるアップテンポなdelta sunでフロアを躍らせ、5thアルバムからの曲を織り交ぜた後、いよいよopus40へ。CDだと、ともすれば美しく儚い印象を与えるだけで終わってしまうこの曲、ライブでは強烈なサイケデリアを放つ長尺ミュージックへと変化する。ジョナサンの動作と照明、音響が完璧に一致し、徐々に高みへと昇り詰めていく。曲は終盤で一気に加速し、全ての音が渾然一体となり、フロアを恍惚感で埋め尽くしながらメンバーは退場。素面の状態でこれほどの昂揚感を体感したことはおそらく今まで無かった。アンコールのsaw songでは有名なノコギリ状の楽器が登場し、テルミンに似た音色を響かせる。そして終曲のdark is rising。ジョナサンが最後に両手を大きく突き上げ、ライブを締めくくった。

やはり残念ながらマーキュリーレヴのライブは、他会場と比べると短かったが、それでも十分に満足の行く、文句なしの高揚感を味わったライブだった。



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