UNWED SAILOR/Little Wars

★★★★

Johnathon Fordを中心とするUS産ポストロックバンドによる4th。以前に(恐らく前作だと思う)試聴した時の感触から、かなりアンビエント寄りなバンドだと思ってたんだけど、今作を聴いて大きく印象が変わった。

シンセ/キーボードを深々と取り込んだ、ノスタルジックな煌めき強いインスト・サウンド。レーベルメイトでもあるSaxon Shoreと同属の、繰り返し打ち寄せ爆ぜる眩い音の洪水が強い昂揚を醸成。静寂と爆音のコントラストで魅せるタイプではなく、エモーショナルな奔流がその嵩を増減しながら止め処なく展開する流麗なスタイル。肝はリズム、というかドラムで、さりげない変拍子で空間を鮮やかに叩き分けながら、拡がりのあるサウンドスケープの土台をきっちり締め上げている。

そのドラムスが明瞭に跳ねアガルTr.2"Little Wars"、複綜する弦楽/鍵盤の自由な遷移が、乱反射する木漏れ日然とした高揚を煽る"Nauvoo"では、押しては寄せるクライマックスの波が小さいながらも完成された永久空間を創造する。

安心感のある、という形容は刺激を求める向きからすれば歓迎されざるフレーズなのかもしれないが、なんのストレスも無く入り浸れるこの安息の音像は、爆音で自慰するだけのバンドには到底到達不能な絶品の昂揚を描いているように思う。新緑迸る現在の季節に相応しい、包容力ある昂揚に満ちた好盤。

http://www.myspace.com/unwedsailor