THE THERMALS/The Body, The Blood, The Machine

★★★☆

オレゴン州ポートランドの3ピース、The Thermalsの3rdアルバム。FugaziのBrendanをプロデューサーに迎え、地元のスタジオにて録音された。リリースはSUB POPより。

"ファッショなキリストの支配する合衆国からの脱出"なるものをコンセプトとするその内容からか、ポスト・ポップ・パンクなんて形容がされているのも見かけたが、放たれるその音は、パンクというよりUKインディー・ギターロック勢に近いものを感じる。ソリッドに刻まれるリフと、絶妙な感傷によって胸を焦がす青臭いエモーション。例えば、Crashlandのようなバンドが好きな人は間違いなく気に入るだろうと思う。演奏はお世辞にも巧いとは言い難い。荒い。曲間の繋ぎにしても、随分と粗い。ずば抜けた勢いや、天賦のメロディセンスがあるわけでもない。

しかし何故か妙に強く惹きつけられる。魅力の根源は、間違いなくボーカリスト/Hutch Harrisのその声。ごくごくシンプルなコード/リズムを繰り返すバンドサウンドのその上で、まるで独りで起承転結を演出するかのような彼の歌声が、ものの見事にこちらの胸を抉り、揺らし、躍らせる。

個人的ベストトラックはTr.5"Returning To The Fold"
ゆったりと振り下ろされる、ミドルテンポのギターの叙情、上で悠々と歌い上げる件のヴォーカリストの歌声が、旧き良きUKギターロックの昂揚を思い起こさせるようだ。

http://www.myspace.com/thethermals