SUCHTMASCHINE/Kra!

★★★★

昂ぶらせ、衝動を焚きつける要素が引きも切らずに押し寄せる極上のインストゥルメンタル・ロック。ドイツ発の3ピースによる07年リリース1st。

冒頭から繰り出されるダークなアンサンブルは、クラウト的なニュアンス/メタリックなリフを中心に壮大なスケールを即効で展開。70年代progの要素も匂わせつつ、全体としては例えばMaybeshewillにも劣らぬエクスタシーを連発させる、モダンでストレートな情感こそが強く匂う。邪悪なヴォイス・サンプリングやスペーシィなKeyを強烈なアクセントとして捨て置きながら、連続する爆発で確実に衝動へ着火。続くTr.2"Kumasi"で音像は一気にドラマティックな度合いを増し、メロディアスなベースラインやストリングスを相乗させながら、夕景の感傷/闇の衝動/暁の喜びといった心象風景をクッキリと描き出していく。

インストゥルメンタル・ロックのツボを押さえまくった展開に、鈍重な箇所は皆無、楽曲中に織り込まれるサクソフォン/ヴァイオリン/ピアノといった生楽器の使い方も完璧。中でもサンプリング・ヴォイス/ストリングス/轟音を絡めて煽り立てながら、ジャジーなピアノラインが鮮やかに崩落するラストの"Krauterboy, Ahoy!"には悶絶。

鳴らされる一音一音から、プレーヤーの息遣いめいた熱気が感じられるところもこの手のバンドとしては異色。楽器が様々なエモーションを歌い上げる、本物のインストゥルメンタル・ロックに脱帽でございます。素晴らしい。

http://www.myspace.com/suchtmaschine