RETURN TO FOREVER/Hymn Of The Seventh Galaxy

★★★★

ジャズ・ピアニスト/Chick Coreaが結成したRTFによる3作目(73年リリース)。邦題は『第7銀河の賛歌』。大幅なメンバーチェンジが行われた今作からが、第2期RTFとしての区切りになるらしい。

メンバーはチック・コリアの他に
スタンリー・クラーク(b)
ビル・コナーズ(g)
レニー・ホワイト(ds)
という編成。

前作まで在籍していたvoが抜け、新たなパートとしてギターが加入し一気にロック方面へシフト。結果、正統派なジャズ・ファンからはあまり芳しからぬ評価を得ているという作品。ギターが泣き、ドラムが暴れ、ファンタスティックなエレピが舞い飛ぶナンバーは、確かに"一大フュージョン音絵巻!"とか言いたくなる下世話なフレーヴァーをふんだんに匂わせる。

とりあえず、速い。速くて精密。しかもスケールは誇大。ぶっ飛んだ異常な構造をクルクルクルっとクールにキメる有り様は、ほとんど笑いと紙一重。冒頭から連続の変拍子。華麗に捻じ伏せ、怒涛のラッシュを叩き込む展開が目白押し。Tr.3"Captain Senor Mouse"やTr.4"Theme To The Mothership"あたりで最高度の燃えっぷり。

同時期に一世を風靡したマハヴィシュヌと比べると、こちらはかなりウワモノが軽く、キャッチー。コズミックなフレーズを連発するエレピ・サウンドは、全体をゲーム音楽然としたチープさへと流しかねんところがあるんだが、ビル・コナーズの磊落なギターがそれを巧く打ち消している。一般的には次作からギタリストの座に納まるアル・ディメオラの超絶ギターの評価が高いけど、ロックとして作品を捉えるなら、このビル・コナーズのギターのほうが絶対格好良い。

基本的にジャズ畑のミュージシャンが演るフュージョニックなサウンドは苦手なんだけど、マハヴィシュヌの初期同様、この作品はイケた。ファンタスティック!ブラーヴォ!と声を上げたくなるような、オモロな興奮渦巻くアルバムです。

http://www.myspace.com/rtf777