THE PHANTOM BAND/Checkmate Savage

★★★★

Chemikal Undergroundからデビューを飾った、GLASGOW発の6人組ロック・バンドによる本作。サイケ/クラウト/シューゲイズが人肌の熱気によってメルトし協奏する、絶妙にネジクレた音場が印象的。

真っ先に思い浮かべたのが、同郷スコットランドの雄/THE DELGADOS(と思ったらプロデュースにそのDelgadosのPaul Savageが)。サイケデリックな恍惚で包む合奏感や、ダークだがナチュラルな温もりを感じさせる玄人好みの音空間。泥臭くも響く電子音が、重みを持ったバンドサウンドと合算しながら緩やかに飛翔していくオープニング"The Howling"。浮遊感よりも、その滑走に係る大地の質感こそが強く匂うシューゲイズ・ナンバーは、EARLY YEARSなんかと同系の渋〜い昂揚を感じさせる。Tr.4"Crocodile"も同様で、クラウト風なリズム進行から、ポストロック的爆発の上昇気流が猛然と周囲を席捲していく展開がかなり巧みで気持ち良い。ギラつくアンサンブルから突入し、躁鬱の境界で跳ねる旋律/ヴォーカルがコロコロと転調するTr.5"Halfhound"もナイス。気怠るいメランコリー満載のメロディに佇むTr.7"Island"やラスト"The Whole Is On My Side"あたりで、ちょいと躍動感を削ぎ過ぎな感じもするが、程よくヒネた楽曲に宿る平熱のサイケデリアは、ド派手じゃないが確実にコチラを捉え、最終的にかなりの高みへと引っ張り上げる強さを持っている。"Halfhound"のイントロでは、これまた同郷のFranz Ferdinandっぽいキャッチーな跳ね具合もあったりするんだが、今作では総じて、シーンの流れを意識せず、じっくり好きなもんを作りこんできた感が良い意味で勝っている。なんとなくSNOOZERあたりがハイプしそうな匂いもするが・・・。

http://www.myspace.com/thephantombandpage