THE EARLY YEARS/S.T

★★★★

英国ロンドンの3ピースによるデビュー盤。Spacemen 3直系のサイケデリックな恍惚を、90年代UKギターロックのフィルターを通した爆音と共に降り注がせる。

オープニングトラック"All Ones And Zeros"
高域を滑空するクリアギター/リズミカルに胎動するドラムループが強烈な上昇気流を形成する。深いリヴァーヴを纏い何度も何度もリフレインする歌により一気にリフトアップされた精神は、炸裂するファズギター/ノイズ/ハイハットの嵐により最高の高みへと連れ去られる。

メランコリックにセンチメンタルに、身体を内から揺り動かす珠玉のメロディと、昂揚中枢を問答無用に狂喜させる光り輝く爆音シャワーの歓喜の瞬間。その両者を絶妙なバランスで組み合わせ、緩急織り交ぜ一気に聴かせる様が素晴らしい。

反復する音が生み出す恍惚作用へ、時にクラウトロックばりのビートを刻むドラムの牽引力を掛け合わせ、美酔の酩酊と躍動する音塊を理想的なバランスで同居させる彼らのサウンドは、終始に渡って失墜することのない高次の昂揚ラインを保ち続ける。スタイルこそ少し違えど、この玄人じみたバランス感覚はDovesの2ndに共通するものも感じさせる。詳しくは知らないが、バンド名同様それなりに長い下積み時代が在るのかもしれない。

スペーシーな轟音サウンドから靴視人、とりわけSix By Sevenが好きな人には是非とも聴いてもらいたい、最近のシーンではかなり珍しいタイプの、そして極めて高いクオリティをもった快作。ライブが観てみたい!

http://www.myspace.com/thesoundoftheearlyyears