Neurosis + GY!BEとも評されていたUSの3ピース、TOIPのデビュー盤。まず驚くのがそのリズム隊。なんじゃこれ、ってぐらいに重い。太い。ヘヴィ。
オープニングトラック"Horsehead Nebula"
バイオリン/チェロを交え、粛々と物悲しい叙情を創出する序盤から、まるで地響きのようなバスラインと共に不敵な旋律が湧き上がる。やはり特筆すべきは前述のリズム隊。その重さたるや半端でない。ベース音とバスドラにより膨張するグルーヴに、転調を繰り返す歪んだギターリフがザクザクザクリと斬りかかり、轟音の渦中で劇的に絶叫するヴォーカルが立ち現れるTr.2により、一瞬にして昂揚は臨海点へ。轟音の暴力が放つ熱量もさることながら、その展開の巧みさに脱帽。鋭いリフの点描から、空間を塗り潰す漆黒のヴェールまでを演出するギターワークに、暗い賛歌を奏でるベースが素晴らしいグルーヴで応え、ラディカルなドラミングが炸裂する楽曲は、どれもこれも凄まじくクオリティが高い。
ヘヴィロック・テイストのポストロックバンドというとPelicanが真っ先に思い浮かぶが、雄大に揺蕩う轟音により全てを飲み込むPelicanに対し、TOIPの音からは、生身の人間が素手で殴りかかってくるかのような危うい狂気が感じ取られる。Seachangeあたりが好きな人なんかに強烈にオススメしたい、素晴らしいバンドです。
www.myspace.com/theoneinchpunch