MEDESKI MARTIN&WOOD/Zaebos(Book Of Angels Vol.11)

★★★★

鬼才John Zornの楽曲を様々なアーティストがカヴァーする"悪魔"シリーズ第11弾。Vol.9のSC3が非常に良かったため続けて手を出してみた。

ジャズの範疇で語るより、後期クリムゾン好きはマスト!といったほうが食いつきが良さそうな、攻撃的かつプログレッシヴで神秘性も孕んだ1枚。とりあえず頭の"Zagzagel"がヤバスギル。ありえん圧力で空間を捻じ伏せるウッド・ベースの反復と、ノイズすれすれの旋律を叩きつける鍵盤の轟音が灼熱のリズムの上でルンバ。一転、月光が滴るようなKeyを主体に幻想的な夜を描く"Sefrial","Asaliah"、Sonny Clarkばりの煌びやかなピアノが気品をもって揺れる"Rifion"、反復するリズムが掘り出す深淵から異境の旋律が怪しく這い上がる"Chafriel"、頭がオカシイとしか思えん轟音と幽鬼とファンタジックな旋律が滅茶苦茶に錯綜する"Jeduthun"、ドヴォルザークの交響曲の序章めいた、民族的な匂いに塗り込められた暗い暗い"Malach Ha‐Sopher"まで、楽曲毎のヴァリエーションは大変豊富、かつ全体の世界も豊饒な統一感で満たされている。

個人的に、これまでMM&Wはその高い演奏レベルや前衛的な展開が逆に邪魔をして、少々頭デッカチで疲れる印象を持っていた。が、今作では実に前衛的で非常にテクニカルでありながら、それがストレートに衝動に火をつける。オリエンタルな要素の煽り具合も抜群にキモチイイ。このシリーズ、すごく良いかも。

http://www.myspace.com/medeskimartinandwood