LOOSE LIPS SINK SHIPS(El Pin Meldou)/The Contemporary Issues Of Celibacy

★★★★

イリノイ州の5人組による08年作。By The End Of Tonightの激しさやエモさはそのままに、それがより空想的でマジカルな世界へ飛翔したような怪作。変拍子やトリッキーな展開を軸に攻めるバンドは多々おれど、LLSSの楽曲はそれを絵筆に多彩な風景までをも描き出す。というか彼らの主眼はその全景にこそあるのかも。

楽器が演奏が軽やかに飛翔し物語る楽曲はまさしくミラクル。そのセンスにマジで瞠目。目的を持って鳴らされるインストは、ホントの意味でテクニカル。EITSがマスロックを演ってるようなオープナー"Oh, Debit"は、舞い上がる叙情パートにもキメの技巧部にも全くもって抜かりなし。激烈なエモと凄烈なクリーンパートが交錯するTr.2、複雑なセンチメンタリズムを極めるTr.3に続いてのTr.4"The Wisdom of Karl Malone's Sternum Fin"がベストトラック。ノスタルジックな陽だまりに溺死する冒頭から、激烈なリフの嵐に呑まれていく絶景に悶死する。

情報不足のため正確には判らないのだけれど、Tr.5〜8を担うEl Pin Meldouというのもメンバーは同じなのではなかろうか?楽曲スタイル、クオリティ共に全く同質。あえて違いを見るならベースの厚みとドライブ感ぐらい。とにかく、一枚を通じての出来の良さは出色。一体、予測不能の展開がストレートな昂ぶりを破るのはいかなるカラクリによるものか!?と不思議に思うほど、この不規則に満ちた音楽が与える直情的な昂ぶりに酔わされた。

http://www.myspace.com/looselss