BY THE END OF TONIGHT/A Tribute To Tigers

★★★★

テキサスの4人組、By The End Of Tonightの1st。リリースはお馴染みTemporary Residenceから。そこへ至るまでの手法こそ違えど、最終的に目指す地点はEITS(というかこのレーベルのバンド全て)に共通する、光に満ちた昂揚世界。

メランコリックなギターフレーズ、初期Trail Of Deadにも通じる壁の向こうで鳴っているような轟音ディストーション、乱射されるマシンガンベース、そして怒涛のごとくスネアを叩き込むハードコア系譜のドラミングが目まぐるしく展開するTr.1、へヴィロック張りのリフを落とし込んだ一瞬ののち、一気に泣きのトレモロギターが拡散・飛翔するTr.3、軽やかに跳躍するドラムスと、テキサスの日中を彩る眩い日差しを思わせる、感傷的な轟音ギターがゆっくりと絡み合い、全5曲中で最も直情的な昂揚感を生み出していくTr.4など、変則的・攻撃的な演奏と、美しく・センチメンタルな空気が同居している。

緩急静動を織り交ぜながら、縦横無尽に空間を跳梁するサウンドに、むちゃくちゃ興奮させられた。流麗で美しく、かつ熱いアンサンブルが素晴らしい、かなりお薦めの作品。
http://www.bytheendoftonight.com/dialupframe.htm

Fierworks On Ice

★★★★

あらためて凄いバンドなんじゃないかと再認識。先に1stアルバムをレビューしたBy The End Of TonightのデビューEP。といってもアルバムと収録時間はほとんど同じですが。

先のアルバム同様、変拍子と転調が数限りなく織り込まれ、目まぐるしく展開するスリリングな曲構成。中でもこのEPでは、スラッシュメタル系譜のザックザクの高速ギターカッティングが際立ってカッコ良い。そして何よりも圧巻なのは、最後の最後まで爆発的なエネルギーを放出しながら叩き・叩き・叩きまくるドラミング。一体何本手があるのかと。しかも使ってるのは子供用のドラムキットだとか、、、もはや常人には及びもつかない世界です。縦横無尽に荒れ狂うビートから叙情的な美メロへと移行するTr.4"It's Christmas Time Again"は、かなりの名曲。

Complex Full Of Phantoms

★★★★☆

イキの良いSplit。
By The End Of Tonight=6曲/15分
Tera Melos=5曲/16分
悶絶必死の激音にて、一瞬で駆け暴れ去り行く音のカタマリ。かっけーよ、これは。

先に現れたるはテキサスの4人組/BTEOT。メタリックな色彩の2本のギターがギャリギャリゴリゴリッと転回。暴れ馬のようなボトムのベースに、駄ん駄駄多々多々ッと叩きまくる変則の鬼ドラムが素晴らしい牽引を見せつけ弾け飛ぶ!先のTemporary Residenceのコンピを聴いた時も思ったが、この人ら、かなり化けた。初期とはまるで違うグルーヴの渦巻きですよ。複雑なリズム隊が溜め込む熱を、かつて多くの部分においてチルアウトさせる方向でピロリピロリ演ってた感が強かったギター×2は、近作ではあからさまに往年のHR/HMを彷彿とさせるダイナミックなリフを織り込み混ぜ始め、いっせーので、でドーン!と行こうや的タフネスの化身となり、体育会系のノリの良さが表出することを厭わぬ明朗快活且つ強靭な展開でこちらを撃ち、貫く。高速かつ明快なる破壊。音の出し引きの上手さが異常。んでもって、トップギアへ至るためのオカズ全てが超高速で提供されるんだから、こんな面白い音は無いと思うんですよ。数多ジャンルの極層の興奮を、めくるめく149秒間で激烈に焼き付けていくTr.3"Jealous Of A Ghost"、昂ぶる感情をストレートな絶叫として放出するTr.5"Ghost Boat"、そして全6曲中最も高速かつアグレッシヴにドライヴィンするラストトラック"Elivis Didn't Die"にて、空間を蒼く焦がしながら幕引き。なのにドラムのJeffは脱退。残念です。一度でいいからこの面子を生で見たかった。

続いてTera Melos。サクラメントのカオティック3ピース。真性の変態を思わせるサウンドは、マジで一寸先も読めぬ狂った展開。ただ、混沌のカタマリをひたすらにぶつけ続けてきたデビュー盤と比べると、音色はかなーり多彩化。乱雑に刺し込まれるジャンクなリフから、高速のタッピング、エレクトロニカ、分数コードに変拍子。断片的なモノが無秩序に交錯する刺激的な空間は、とっ散らかった子供部屋を眺めるようで、なんとなく微笑ましくもあり。音が転換する瞬間瞬間の落差の熱量や、そのピース自体のユニークさで攻め続けるサウンドは、5曲16分という長さであれば、かなり無類の強さを誇るんではないだろうか。意表を突くブラスの挿入や、一気に雲上へ抜けるエレクトロニカな浮遊感、やけに柔らかなヴォーカルの組み入れ方などかなり意外で良かった。全然ちげーよ、と言われるかもしれんが、自分はここに昔のAnimal Collectiveが持っていた、天然もののパワーを感じた。

というわけで、ともに気合いの入ったグッドな演奏を見せてくれる、ナイスなスプリット盤でありました。にしてもBy The End Of TonightからのJeff脱退は痛い。

http://www.myspace.com/bytheendoftonight
http://www.myspace.com/teramelos