LONG DISTANCE CALLING/Avoid The Light

★★★★

独/ミュンスターの5人組が放つ2ndアルバム。思わず「放つ」とか書きたくもなる、全身を掴み揺るがす「スペィシー」なインストゥルメンタル・ポストロック。

即座にMASERATIのソレを連想したそのサウンドは、まさにワタクシ好みのド真ん中。それはさながら、宇宙空間をダンスホールに見立てかのような音体験。轟然と湧き上がり、あるいは美しい明滅とともに降り注ぐ音と音が、もれなくその渦中へ聴き手を引き込み、揉み上げ、洗い晒して解き放つ。ゆるやかな旋回からビックバンが巻き起こるオープナー"Apparitions"、邪悪な質感の轟音が撒き散らされる"Black Paper Planes"、物悲しいフレーズと爆音の対比が二段構成のクライマックスを描く"359"、作中最も攻撃的なメタリカル爆音"I Know You, Stanley Milgram!"、続く"The Nearing Grave"ではDREAM THEATERあたりも思わせる歌モノも披露し、ラスト"Sundown Highway"ではその秀逸なリズムセクション/リフレクションを再び見せつけ、強烈な昂揚を放射してのクロージング。秋の夜長にもハマりそうな、素晴らしの爆音螺鈿細工でありました。

S.T

★★★☆

独/ミュンスター発のインテリジェント・ポストロック、2011年リリースの3rdアルバム。

さながら情緒を備えたアンドロイドのように、下手な情感に崩れることのない、ゆえに明確なシルエットのエモーションを噴出させるインストゥルメンタル。前作『Avoid The Light』と比べると、随所でメタリック/プログレッシヴなニュアンスは増したが、そのサウンドのベースは変わらない。

明滅するパルス/交わされるサンプリング・ナレーションによって、ただちに拓かれた脳内スペースへと引き込まれる"Into The Black Wide Open"を皮切りに、漆黒の中を旋回し、昇り、炸裂する楽曲群。MASERATIとも近接する精緻なリズム・ループに瞬殺される"The Firgin D'an Boogie"、斬るようなリズムの余韻の中から、滲み出るような情感が漂う"Timebends"あたりが好み。

過去にはHAUNTEDのPeter Dolvingや、ex.KATATONIAのJonas Renkseをゲスト・ヴォーカルに迎えたトラックもあったが、今作の"Middleville"では、ex.ANTHRAXのJohn Bushが参加。邪悪なエネルギーとともに増幅するインストに共振し、クログロとして冷たく、ヘヴィなヴォーカルが炸裂する。前作以上にスケール面での触れ幅を広げ、それに伴って深化した音像はかなりアピール度が高いように思う。ただ個人的には、そのスマートな知性に裏打ちされた、凛として情の深いインスト奏が好みであるため、トータルの世界観としては前作に軍配が上がる、というのが正直なところ。

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