LIFESTORY:MONOLOGUE/Hold Me In the Wind, My Friend

★★★★☆

久々に、歌の力に心酔した快作。同郷のBROKEN SOCIAL SCENEにも通じる人力の昂揚が溢れ出す、カナダの7人組POST ROCK/EMOバンドによる新作。

SAXON SHORE+ATDIという、かつて無い形容が頭に浮かんだインディー気質のオリジナル空間。キラリ反射するリリカルな旋律と、胸を焦がす感傷的なフレーズ、それらがウネリを成して押し寄せ昇り、数度となく炸裂する展開は、それ単体で見れば優良のインストゥルメンタル・ロックの一つという感じ。が、そこに折り重なる歌の強さやエモーション、この愚直さがマジで胸に迫ってグッとくる。専従も含め7人中4人がvo.パートをとる楽曲は、歌い、囁き、時に呻きにも似た絶叫が美しく絡み合い、血肉の通った昂ぶりを育んでいく。徹底してピュアな明度は所々でシガー・ロスを彷彿とさせ、背後に確かな肉体の躍動を感じさせる等身大の激性はATDIの熱さを浮かばせる。声の起爆に同期して、ちらりメタリカルなフレーズ/リズムを忍ばせる辺りも非常に好み。

なにせ、このバランス感覚が絶妙にして絶対。もう一押し艶を含んで流れれば、大嫌いなUSエモ・ロックに流れ着くだろうし、人肌の柔さが強く出れば軟弱なインディー・ポップで終わっていそう。その奇妙にして完璧なバランスが、最近感じなかった魅力をこのフィールドに芽吹かせたのかも。

Richard Nuttall - Vocals
Jordan Mclean - Guitars, Vocals
Jay Reid - Bass, Vocals
Jason Gormley - Guitars
Zac Tenwesteneind - Keys
Brett Banks - Drums, Vocals
Andrew Dougherty - Lights

http://www.myspace.com/lifestorymonologue